第3章 魔王信長の策略
光秀さんの後殿にきて今日で二十日
座学にやっと及第点をもらって一段落した
「今日はお前に武術を教えてやる」
『武術・・・何をすればいいんですか?』
「お前がどれ程動けるかわからないからな
手始めに弓道から始める」
ついてこいと光秀に言われ後をついていく
たどり着いた先にいたのは
「いるか家康」
「居ますよ光秀さん
なんの用ですか?」
仕事が終わって後殿に帰ってきていた家康
光秀の後ろにいる葉月をチラッと見た
「知っていると思うが葉月だ
今日は家康お前に弓を教えてもらいにきた」
「は?嫌です。なんで俺が」
「葉月、庭に出ていろ直ぐに行く」
「何かってに話進めて・・・」
さっさと行けと部屋から追い出され
仕方なく先に庭に出た
女中さんの案内で進んでいくと
少し開けた場所に的が立っていた
『弓と矢はありますか?』
女中さんにお願いをして用意をしてもらい
家康さんが来る前の肩慣らしをすることにした
受け取った弓の弦の引き調子を確め
矢をセットしゆっくりと弦を引き絞る
タァーンと的に辛うじて中った
『う~ん・・・ちょっと重さが違うんだよね
もう一本矢をくれますか?』
「もう少し上狙いなよ」
『そうだね
この矢はわたしが使ってたのより重いから』
アドバイスを聞き何時もより少し上を狙い
矢を射ると今度は綺麗に的の中心に中った
『よし!!ど真ん中』
「ふーん、なかなかやるじゃん」
『わたしの辞書には不可能の文字は存在しな・・・・・
い事は無いです、はい。ちゃんとあります』
微笑みながら振り向いた先に
不機嫌な家康さんとニヤリと笑う光秀さんを見て
慌てて訂正をしたが時はすでに遅かった
「経験者の様ですし
俺が教える必要は無いですね光秀さん」
「葉月、被っていた猫を
何処かで落とした様だぞ?」
アハハ~と乾いた笑みで
どうにかその場をやり過ごした