第2章 安土城下
「またか・・・・」
文の整理をしていると秀吉の文が
混じっているのを見つけた
また椿が間違えたのだろう
信長様から仕事を貰いお針子たちと
一緒に着物を仕立てている
着物の仕立ては人気でしっかりとこなしてはいるが
文を届ける仕事はそうはいかないらしい
文字が読めないらしくよく間違えて違う文が届く
その度にいちいち届けに出向いている
今回も帰るついでに届きにいくことにした
「どこ行くんだ家康?」
「秀吉さんの後殿に」
「ちょうどいいこれを秀吉の後殿にいる
三成に渡してくれ」
「・・・嫌です」
「いいじゃねえか家康
今から秀吉のところに行くんだろ?」
秀吉の後殿に向かう家康の手には
政宗に無理やり渡された一冊の本
苦々しげにその本を見てため息を吐いた
「秀吉さん失礼します」
「どうした家康?」
「俺のところに秀吉さんの文が混じってましたよ」
「ああ、わざわざ悪かったな」
「あと、政宗さんから預かってきました
秀吉さんから渡しといてください」
「家康、お前が頼まれたんだろ?
責任持って三成に渡してやれ」
手に持っていた本を秀吉に差し出すが
呆れた顔をされやんわり拒否された
仕方ないかとため息を吐き部屋を出ようとすると
大きな声が聞こえ、そのあと
バタバタと女中が廊下を走っていく
暫くして帰ってきた女中を呼び止めた訳を聞いた
「客人になにやらしてるんだ」
「誰が来てるんですか?」
「帰ってくる途中で
座り込んでた葉月を休ませてるんだが・・・・・」
「葉月?」
知らない名前に誰だ?と思ったが
その前に秀吉が歩き出した
その後ろにつき三成がいる部屋の前まで行く
そこにはお茶を立てて貰っている三成がいた
称賛する三成に呆れ気味に呟く葉月
それを見て頭を抱える秀吉
三成はさらに"姫君かも"と微笑む
「馬鹿じゃないの?
そのぐらい誰でも出来る」
俺が声を出すと三成を見ていた
葉月がこっちに振り向いた
パッチリした茶色い大きな瞳と目があった