Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第7章 ホームズと、ワトソン?【工藤新一】
すると先輩は何が可笑しいのか笑い出す。
「・・・そんなにおかしいですか?」
「いやいや、二人が順調に進んでるみたいで嬉しいのー」
「・・・これって順調なんですか?」
「うん、むしろ遅いくらいかも」
「え!?でもまだ付き合って1ヶ月ですよ!?」
「だってアンタら殆ど毎日一緒にいるんでしょ?それで何もないなんて子どもじゃないんだから」
「・・・そういうもんですかね」
「そう。きっと工藤くん我慢してると思うよー?まあそれだけ大事にされてるんだと思いなさい」
その後も色々言われたけど、期待していたようなアドバイスはもらえなくて。
“初めては工藤くんに任せればいい”だとか、“いつものらしくしてればいい”とか・・・
どうしたらいいのか、結局よく分からないまま学校は連休に入り、ついに工藤先輩の誕生日当日になってしまった。
今日は私の作った夕食が食べたいと言われていて・・・
お昼過ぎくらいにエプロンを持参して先輩の家を訪ねる。
(ちなみに昨日から悩みに悩んで、なるだけ可愛い服を選んだつもりだし、自前の中で一番男の子ウケが良さそうな下着と部屋着も持ってきた)
自分の親には、“友達の家に泊まる”と少し嘘をついて出てきている。
リビングでいつものように先輩と喋っている内に、すぐに夕方になり。先輩と一緒に買い出しに出て。
慣れない料理をなんとか頑張り形にして。
先輩がうまいと言いながら完食してくれたことにホッとして。
食器を片付け、ソファに先輩と並んで座り、テレビを眺める。
でも、時間が経てば経つ程・・・この後どうなるのか、って考えてしまって気が気でなくなってくる。テレビの内容なんてほとんど頭に入ってこない。
ソファに座る先輩との間の距離は約20センチ。
さっきまではもう少し離れてた気がする・・・
「、風呂入るか?」
「は、はい!入ります・・・」
急に問われて思わず飛び跳ねそうになった。
「じゃー準備してくっから、ちょっと待っててな」
そう言った先輩は、リビングから出ていく。
お風呂の準備が整えば、先に入るよう促され。
広々としたバスルームに一人で入る。
先輩を待たせるのも悪いし、でもとびっきり綺麗にしたいし・・・その中間点、つまりは普段通りの速さでお風呂を済ませた。