Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第7章 ホームズと、ワトソン?【工藤新一】
届いた時刻は30分程前・・・
“今日はありがとな、明日も放課後あいてるか?”
すぐに返事を打とうとする。指先が震えて何度もミスタッチを繰り返して・・・
“こちらこそ、ありがとうございました!明日、大丈夫ですよ!”
たったそれだけの文章を作るのにかなりの時間を要し、送信した。
しばらくすると、“明日は学校終わったら迎えに行くから教室で待ってろよ”と返信があり。
思わずその場で立ち上がってしまった。
お風呂に入ってもドキドキしたまま、夜中になっても目が冴えまくっててすぐには眠れなかった。
次の日学校へ行ってもずーっと頭の中はポーっとしたまま・・・
昼休みになり、クラスメイトとお弁当を食べる。
工藤先輩のことを話せる程仲の良い友達は、まだ同じクラスにはいなくて。
なんとなく周りの子達の話に相槌を打ちながら、昼食を食べ、そのまま教室で残りの休み時間をその子達と過ごしていた。
すると、廊下から聞き覚えのある声で名前を呼ばれた気がした。
「ー、おーい!ちょっと来て!」
「・・・あ!服部くん!なにー?」
「いーからいーから」
呼び掛けてきたのは、中学時代のクラスメイトの男の子だった。何かあったんだろうか、廊下に出る。
「なんか久しぶりだねー!服部くんってクラスどこになったのー?」
「俺はAだけど・・・と話したいって奴がいるんだ、ソコで待ってるから、行ってやってくれ。良い奴だから」
「うん・・・ん、と・・・行かなきゃダメ?」
“ソコ”と目線とあご先で言われたのは校舎の外の方、所謂非常階段の方で。
あまり良い予感はしない。こういう事って前にもあった。
でも、「頼む!・・・なっ?」と、すがり付いてくる元クラスメイトを無下にもできず・・・
渋々誰かが待つらしいそちらへ向かえば。
「さん!好きです・・・俺と付き合ってください!」
嫌な予感大当たりの場面に直面することになる。
こうなった時の返し文句は、もう決まっている。