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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第7章 ホームズと、ワトソン?【工藤新一】


「手が止まってるぞ!仕事しろ仕事ー!」

「えぇっ!?はいっ!」


数分前と変わらない口調で言い放った先輩は、また自分宛の郵便物を開き出し。
わたしはドギマギしたまま仕分け作業を再開し、終始無言で徹する。


工藤先輩は、どうしてあんなことしたのか。

結局、私のことは、どう思ってるのか。

私の気持ちは、伝わったんだろうか。


何も聞けないまま、ついにダンボール箱も三箱目になり、外が薄暗くなり始めた頃、空になった。


「終わりましたー!」

「おう、助かった。サンキューな」

「はい。あとは?何かすることありますか?」

「もうこんな時間だしな・・・今日は帰っていいぞ、送る」

「送る、って工藤先輩がですか!?」

「他に誰がいんだよ」

「ですね・・・」






まだ少し肌寒い、春の夜のはじめ。

先輩と二人並んで歩く・・・こういうのも、初めてだ。


「さみぃなー」

「お昼はあったかかったのにー」

「・・・ほら、手」

「ぁ・・・」


歩きながら先輩が手のひらをこちらに向けて開いてくる。
まさか。これって手を繋ぐの・・・?

中々自分の手を伸ばせずに戸惑っていると、先輩に手を掴まれる。


「わわっ・・・」

「ちょっとはあったけーだろ」

「はい・・・」


温かい所か、今日何度目だろう、また緊張がピークに達して、寒さなんて気にならなくなってしまった。

でも、先輩の手は私のよりもずっと大きくて温かいことは分かる・・・

きちんと手を繋ぎ直し、自宅までの道のりを手を繋いだまま歩く。

こんな、まるで恋人みたいな・・・

いつまでもこの時間が続けばいいのに、と思うけどそんなに私の家も遠くない。
あっという間に我が家の前だ。


「ありがとう、ございました・・・わざわざ」

「気にすんなって。じゃな、また明日・・・」

「はい!・・・お疲れ様でした!」

「なんだよ“お疲れ様でした”って。部活じゃねんだから」

「あっ!そうですね、じゃあ、また・・・」


可笑しそうに先輩が笑う。この笑顔がほんとに好きだ。

離したくないけど・・・そっと繋がれた手を解いて、頭を下げ。

頭を上げた途端、おでこに柔らかい感触。

こんな所でもキス、するのか・・・また顔に熱が集まってくる。

どうしたらいいか分からなくって、逃げるように家に入った。
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