Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第7章 ホームズと、ワトソン?【工藤新一】
仕分け作業は二つ目のダンボール箱に取り掛かった。
「でも先輩宛のが圧倒的に多いんですねー!あのお父さんお母さんより多いってすごいですよ!」
「そりゃー今父さん達ココに住んでねぇからな」
「へっ?そうなんですか!?」
たしかに、いつも明るくにこやかに迎えてくれた超美人のお母さん(元国民的女優)の姿を今日は見ていない。出掛けてるだけなのかと思ってた。
ということは・・・先輩と家に二人きりなのか。急に気が焦ってきた。
でも、だからって何かある訳・・・ない。
それはそれで切ないけど・・・
しかし、先輩宛の手紙は可愛らしい封筒のものが大半で。ファンレターなのかな、と思うとそれも少し歯がゆかったりする。
「おっ、この手紙写真付きだ」
「えっ!うわー・・・綺麗な人ですね・・・」
自分の写真を付けて手紙を送ってくる人もいるらしい。しかも美人って・・・ああもう、やきもきする。
「ま、美人だろうが関係ねんだけどな・・・事件の依頼の方が百倍嬉しいぜー・・・」
「あの・・・ところで、工藤先輩って彼女いるんですか?今日、クラスのすっごい美人の子に聞かれたんです」
「・・・いねーしソイツにも興味はねぇ、って言っとけ」
「・・・はい」
“彼女はいない”と聞き、内心ホッとしている自分がいる。
でも“美人”というものに興味がないのなら、どういう人なら先輩は興味を持つんだろうか。
「じゃあ、先輩のタイプは?女の子の。どういう人が好きなんですか?」
「んー?・・・さっきの写真の女よりはだな」
「うそ・・・そ、そうなんですね・・・先輩変わってますねー・・・」
「そーか?結構人気あるぞ?」
「えええっ?」
先輩は何を言っているのだ。お世辞か。
嬉しいやら恥ずかしいやら顔に急に熱が集まり出して、先輩の方を向けなくなる。
「変な男に引っかかんじゃねぇぞ」
「はい、大丈夫です・・・」
「・・・大丈夫じゃねぇだろ。こんな耳まで赤くして、泣きそうな顔して」
そんなこと言われると、益々赤くなってしまいそうだ・・・自分ではコントロールできないけれど。