Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第7章 ホームズと、ワトソン?【工藤新一】
話が決まると、「んじゃ俺、中道達んとこ行ってくるわ。放課後頼むな!」と先輩は言い、どこかへ走っていき。私は自分の教室に一人歩いて戻る。
さっき勢いよく返事はしたけれど・・・よくよく考えたら私、放課後工藤先輩の家に行くみたいだ。
・・・制服のままで、いいよね・・・着替えていく方が変か。
サッカー部の集まりで何度か先輩の家にお邪魔したことはある。すっごい豪邸な上に、お父さんもお母さんも有名人で・・・とにかくすっごい家なんだよな・・・
でも、探偵の助手って、何するんだろう?
そんな事ばかり考えていると、勿論午後の授業も上の空。
隣の席の美人には、「工藤新一くんとお昼食べてたの?」と聞かれたけど、「中学時代の部活仲間で集まってたの」と適当に話を流して。
ソワソワしたまま午後の授業もホームルームも終わって、入念にトイレで髪や服装をチェックし、校舎を出た。
意識しなくても自然と足は先輩の家へと向かい。
先輩の家の立派な門の前まで辿り着き、インターフォンのボタンを押した。
すぐに先輩の声で応答があり、名前を名乗ると、「今行く」と聞こえた直後にブツっと通話の切れた音がして。
玄関から先輩が出てきて、門を開けてくれる。
ちょうどその時、バイクに乗った郵便配達員が家の前で止まり、紙の束を後ろの荷台から取り出して差し出してきた。その束を受け取った先輩と共に、家の中に入る。
前にも入ったことがある、リビングのような所に通された。
高級そうな家具に囲まれた部屋に似合わないダンボール箱が三つあるのがやたら目に付く。その内の一つの箱へ、先輩は先程受け取ったばかりの紙の束をドサリと落とした。
「手紙・・・読まなくていいんですか?」
「読みたくても中々読めねぇんだなこれが。このダンボール全部未読だぜ?」
「え・・・すごい量・・・ですね」
「それでは、早速に助手の仕事を与える!この書類を整理してくれ!」
「・・・、はいっ!」
これが助手の仕事なのか・・・でも工藤先輩の言うことは絶対である。フカフカの絨毯にペタンと座り、張り切ってダンボール箱に向かう。
「まず、俺宛と、母さん宛と、父さん宛に分けてなー」
「はい!」
言われるまま、郵便物の分類を黙々と続ける。
先輩は隣で自分宛のものを片っ端から開けて読んでいる。