Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第7章 ホームズと、ワトソン?【工藤新一】
そのまましばらく、慌ただしい下駄箱付近で三人で立ち話を続ける。
工藤先輩はやっぱり目立つみたいで、近くを通り過ぎていく生徒のほとんどが、彼へチラリと視線を向けていくような気がする。
その隣にいる私は、少し気が引けてしまう。
当の工藤先輩はそういう視線すら楽しんでいるようにも見えるけど・・・
「最近探偵の仕事の依頼も来るよーになったんだぜ!それにファンレターだって・・・」
「いいよなー探偵はモテて・・・」
「・・・工藤先輩カッコイイですもんね」
「毎日山ほど封筒送られてくっから全部確認しきれねぇんだよな・・・依頼と只の手紙と分けて欲しいぜ全く・・・」
「なんか大変そう・・・」
「大変大変・・・だからな、、いいこと思い付いたんだ」
「はい?」
タイミング悪く、そこで校内にチャイムが鳴り響く。
この音が鳴り終わるまでに校門に入っていないと、遅刻だ。
そして五分後に朝のホームルームが始まる合図でもある。
示し合わせるまでもなく、私たちの足は自然と教室のある方へ向き。
少し急ぎ足で教室の方へ向かうも、学年ごとに教室のある階が違う為、階段の所で別れることになる。
その別れ際に工藤先輩が早口で言う。
「!お前何組だ?」
「Cです!」
「昼休み迎えに行くから空けとけよ!じゃな!」
「は、はい!」
咄嗟に返事をして彼らと別れたが、昼休みに工藤先輩と会えるのだと頭で理解した途端、急に心臓が倍速で動き出した気がする。
それは勿論、急いで階段を昇ったから、ではない。
自分の教室に入り、クラスメイトと挨拶を交わし。
席に着いて鞄から荷物を取り出していると、隣の席の女の子が話しかけてきた。
ちなみにこの子は、高校から帝丹に入ってきた子で、まだそんなに親しく話したことは無い。
同じ年とは思えない、スラッとした綺麗な子だ。
(ちなみに帝丹は、小中高大一貫校)
「ちゃん、さっき工藤新一くんといたよね。仲良いの?」
「仲良いっていうか・・・中学の時の部活の先輩で」
「へー・・・じゃあさ、工藤くんって彼女とかいるのかな」
「えー?聞いた事ないけど・・・」
「私も喋ってみたいなぁ」
そこで二度目のチャイムが鳴り、担任が教室へ入ってくる。