Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第7章 ホームズと、ワトソン?【工藤新一】
「あの、実は・・・もう高校では・・・」
「なんだよやんねーのか?・・・あ、もしかして、工藤がいねーからか?」
”もしかして”の先は、ニヤニヤとからかうように言われて、心臓が飛び跳ねる。
「っ!なんでそうなるんですか!」
「いっつも工藤ばっか見てただろ・・・バレバレだって」
「ウソ・・・」
恥ずかしさが込み上げると同時に背筋がサーッと冷たくなる。
「気付いてないの工藤くらいだぞ?アイツそういうの鈍いから」
「・・・工藤先輩には!言わないでください!」
小声で精一杯主張する。
「別に言わねーけどさ、工藤もお前のこと多分・・・おっと噂をすれば・・・」
中道先輩の視線の先を見ると・・・工藤先輩がいて。
久しぶりに近くで見る実物に、胸がときめく。
ブレザーの制服は、前と違って少し大人っぽく見えるな。
でも・・・ど、どうしよう・・・当然だけど工藤先輩はどんどんこっちに近付いてくる。
「はよー中道、と、じゃん、久しぶりだな。元気だったかー?」
「はいっ!元気です!」
「高校でもマネすんのか?」
「いえ、それが・・・もう、しないつもりなんです」
「そりゃ残念だなー、中道。こんな良いマネージャー中々いねぇぞ?」
「そうそう、俺もさっき言おうとしてた」
「・・・なんかすみません」
「ま、俺も辞めた身だし、人のことは言えねぇけどよ」
「工藤先輩こそ・・・あんなに上手かったのに・・・」
「サッカーよりも今は探偵としてもっと力を付けたいからな・・・知ってるか?最近俺結構有名なんだぜ?」
「知ってます!すごいですよねー!」
工藤先輩は、中学の頃も探偵のようなことをしていて、校内で起こるあれこれを解決したりはしていたんだけど。
今は“高校生探偵”として世間から大注目されているのだ。
その実力は、警察にも力を貸す位なんだとか・・・
おかげで校内で見掛ける事はなくても、たまに新聞とかで目にすることはできていた。
そのせいですっかり遠い人になってしまった気もしてたけど、こうやってまた話してみると、工藤先輩は工藤先輩だ。