Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第1章 月夜に現れた紳士は【キッド/快斗】
黒羽快斗、ふわふわ頭のお調子者、名前と顔をセットで一番最初に覚えられたのは彼だった。
無事に出欠を取り終え、ホームルームは終わり。
また紺野先生の後に続いて教室を出る。
「ちゃーん!」
後ろから男の子の声がする・・・私のことか?
振り向くと、黒羽くんが駆け寄ってきていて。
わたしの横に並んで歩き出す。
「ちゃんってドコの大学行ってんの?」
「黒羽!教室に戻りなさい!」
「すぐ戻るって・・・なっ?ちゃん?」
「・・・〇〇大だけど?」
「やっぱりなー!そんな気ぃしてた!」
歯を見せながら笑ってそう言い、クルっと向きを変えて教室へ戻っていく黒羽くん・・・変な子。
紺野先生も呆れた顔してるから、まあいつもあんな感じなんだろうか。
私は所謂“国語の先生”を目指していて、数学を教えている紺野先生と授業中は別行動だ。
(ずっと一緒じゃなくて助かったと思ってたりもする)
午前の授業が終わり、昼休みになり。
職員室の紺野先生の机の横で、一緒にお弁当を広げる。
まさか紺野先生とお昼を共にする日が来るとはね・・・
「、早く食べた方がいいよ。食べる時間なくなるから」
「はい・・・?」
意味がよく分からないまま、お弁当をなるべく急いで食べ終わった頃に、先生の言ってたことが分かった。
「失礼しまーす!」と、黒羽くんと、数人の男子生徒(まだ名前を覚えていない)が職員室に入ってきたのだ。
目的は・・・私のようで。
「彼氏いるの?」
「どんな男がタイプ?」
「俺は?俺」
「高校生はダメ?」
「カラオケ行こうよ!」
「連絡先教えて!」
矢継ぎ早に声を浴びせられる。
「おめーらバカだな・・・ちゃん困ってんだろ。ごめんな、皆ガキだから・・・」
黒羽くんが喋り出すと、他の生徒達の声が収まった。
と思ったのもつかの間、またガヤガヤと声がし出す。
「快斗も歳は一緒だろ!」
「俺はオマエよりは大人だっつーの」
「どこがだよ!」
「なあちゃん、誰が一番大人に見える?」
「お前達全員ガキだろーが!からも言ってやれよ!高校生なんかキョーミないって」
そこに突然横から飛んできた檄・・・その声の主は、たぶん、あの先生。