Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第38章 Top priority -最優先事項-【降谷零】
「零…なんか恥ずかしいからこの話やめよう…」
「やめない…可愛いに可愛いって言うのの何がいけないんだ」
「だって…っえ?えっ!?」
お湯が大きく波打ち、背中と膝の裏に零の手が滑り込んできた。水中で身体が持ち上がり、動かされるまま零の上に乗せられて…浴槽の中でいわゆるお姫様抱っこ状態となる。
今更どうしたとまた言われてしまいそうだが、ちょうど胸から上がお湯から出てる状態であり、さっきとは別の意味で恥ずかしい…ただ、これならのぼせることもなさそうだけど。
「これ…下りちゃダメ?」
「ダメだ」
「せっかく広いお風呂なのにこんな浸かり方もったいないー…」
「まあ家の風呂じゃまず出来ない格好だよな」
「そうそう…」
「でも下ろさないからな」
「……」
こういう時の零って、変に頑固だから多分これ以上言っても無駄に終わるんだろう。諦めて大人しくこの場に収まることにして…肩の力を抜いた。
「いつか家建てるなら、広い風呂がいいな」
「広いお風呂ー!いいね!入りに行きたい!」
「が入るのは当たり前だろ…それは多分と僕の家なんだから」
「……うん…んんッ!?」
私と零の家…私達はこの先同棲する予定なのか…そりゃしたいけど……
「僕は結婚したいと思ってる、と」
「……え……本気で、言ってる…?」
「嫌か?」
「……それ、今言う…?ええっ!?っていうかなんで零っていつも突然なの!」
「突然じゃない。僕はずっと考えてた」
プロポーズ…?なんて受けた経験もないけど、こんな素っ裸の時に言われることもあるものなのか。平静に戻りかけてた頭にまた一気に血が巡りだす。
零に真っ直ぐ見つめられている今のこの状況、私はきっと嬉しいんだろうけど…頭の処理が全くと行っていい程追いつかない。どこを向けばいいやら、視線がアチコチ泳ぐ。
背中を抱えられてるせいで、身体はロクに動かせない。抱き寄せられるまま、零の顔が近付いてくるまま……唇が柔らかく重なって、離れる。
目の前にはビックリするくらい優しい顔の零……胸の奥が苦しくて、熱い……
「以外考えられないんだ…」
「……たしかに、私以外と零が結婚するのは嫌…」
「そうだろ?」
「…うん」
「結婚しよう」
「……うん」