Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第38章 Top priority -最優先事項-【降谷零】
「あのね、怒らないで、最後まで聞いてね」
「……ああ、分かった」
零に正直に話すシュミレーションを頭の中でし終えて、彼の性格上起こり得そうな事を考慮し、敢えて前置きをした。
「私が髪伸ばしてるのは……今の職場の子達がみんな髪が長くて、オシャレで、可愛いから…で…浴衣ならアップにするのが普通でしょ?」
「なるほど…別にはショートカットでも可愛いけどな……、で?」
「で…さっきの、アレは……萩原くんが」
「萩原?って萩原か!?何かされたのか!?そういやこの前同期の女子の飲み会に萩原も来たって言ってたよな…まさか」
零が目の色を変えて私の両肩を掴んできた。ある程度予想できていた反応だ。ひとまず手を下ろさせて、冷静になるよう促す。
「だから、最後まで聞いてって言ったよね…」
「…すまない」
「うん。で、まさにその飲み会でなんだけど。萩原くん相変わらず…その…アッチの話もすごくてさ…」(下ネタのことだ)
「全く…まあいつものことだな」
「今すっごい美人の彼女がいるらしいんだけど。その子との…その…アレのこととかも明け透けに言うの……“この前彼女に○○って言われて超コーフンした!可愛すぎてマジで天に昇るかと思ったー”とかさ…」
「……つまり…も同じ事を言えば僕が喜ぶと思ったのか?」
「…怒らないで聞いてよ?……“チャンも言ってみな!あのカタブツ降谷ちゃん…天に召されちゃうかもねー”って萩原くんが…」
「何なんだよそれ…」
「だから…浮気なんてしてないからね!……私はその……ちょっとでも零に可愛いって思ってもらえたらいいなって……思っただけで……」
お湯に浸かってるのもあってか…顔がものすごく熱い……想定外だ、正直に話すことでこんなに恥ずかしくなるってことまではシュミレーション出来てなかった…!
「は昔から可愛い…そのままで、充分可愛いよ…」
「あ、ありがとう…」
「でも…僕の為にもっと可愛くなろうとしてるも、最高に可愛いな…」
大好きな零にそう言ってもらえるのはすごく嬉しい。だけど恥ずかしくて私、もしやこのままじゃのぼせてしまうんじゃないだろうか……