• テキストサイズ

Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第38章 Top priority -最優先事項-【降谷零】


洗い場で髪も身体も綺麗にして、既に零が浸かっている木の浴槽へ私もそっと入る。熱すぎないちょうどいいお湯だ。手足をウンと伸ばし、緩めて、息を吐く。
水面からは湯気が立ち上っていて、目隠しになっているんであろう低い樹木や垣根の上には星空が広がっている。


「星…すごいね、きれーい…」

「ああ。たまには温泉もいいもんだな…」


零と二人でお風呂に入るのは何ら珍しいことでもないけど、温泉、しかも露天風呂なんていうのは初めてだ。横並びに座っている隣の彼にふと視線を向ける。

洗い立ての濡れたままの髪を後ろに流している零は、いつもより男っぽくって実は結構好きだったりする。

あれ…でも…よくよく見ていると、昔よりも筋肉の量が増えて零の体付きが一回り大きくなったような気がする…これ以上カッコよくなって零はどうするんだ……彼が他の女性にモテるのは嫌だ。でもカッコイイ零はもちろん好きだから、ちょっと複雑…


気を取り直して空を見上げる。花火もそりゃあ良かったけど、この星空だって中々のものだ。


「気持ちいいねー…」

「さっきのセックスよりも?」

「……比べる対象が違う」

「すまん。怒るなよ…」

「別に怒ってないけど」

「じゃあ…ひとつ聞いていいか…」

「なに、どう…したの…」


零の身体がこちらを向き、何故か妙に真剣な空気が流れる。何を聞かれるのか全く分からなくて、無意識に背すじが伸びる。


「は、僕以外の男と…その…」

「え…何?」

「僕以外の男と浮気なんて…してる訳ないよな?」

「……へ!?する訳ないじゃん…なんで…」


予想外過ぎる質問、しかもその内容に胸がズキンと痛む。もちろん私は浮気なんてしてない。疑われるようなことも…無いはずなのに。


「いや、聞き方が悪かったな…疑ってるとかではないんだ…」

「じゃあなんで…」

「が…可愛いからだ…」

「……意味が分からないんだけど」

「だって…今までずっと髪は短かっただろ?最近伸ばしてるなとは思ってたけど今日のあんな髪型は初めて見たし」

「それは…」

「さっきもだ…“脱がせて”だとか…“一緒にイこう”だなんて…どこでそんな言葉覚えてきたんだよ…」

「あ……」


それには心当たりがある、あり過ぎる……正直に話すべきか。零の前で上手に取り繕える自信もない。
/ 632ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp