Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第38章 Top priority -最優先事項-【降谷零】
帯は緩められ、だらしなく腰の辺りに落ちている。浴衣の合わせをわざとらしい位にそっと開かれれば、その中を見た零からどこかムッとしたような声が掛かる。
「…浴衣って下着つけないんじゃないのか?」
「さあ……でも着けないと恥ずかしくて外出れない…」
「たしかにそれも困るな…下も履いてるのか?」
「当たり前…!」
零が何に困るのかは謎だが。浴衣はどんどんはだけていき、袖は腕から抜かれて、胸の下着だけがしっかり取り去られた…続いて足元の浴衣も捲られ、下着の有無を確認されたようだ。明るい部屋の中、私ばっかりが肌を晒してる、なんとも心許ない状態。
浴衣を掻き集めて胸元をなんとなく覆う…も、すぐに再びはだけさせられてしまう。
「なんで隠すんだよ」
「だってなんか私ばっかり…」
「別にいいだろ…なあ…このままシたい」
「……お風呂、は…?」
「後でいい」
突然噛み付くようなキスをされて息を吸うタイミングが失われた。熱い舌を強引に捩じ込まれて、舌を絡め取られ、痛みを感じる程に強く吸われる…
今の零って、まるで昔の、付き合いたての頃の零みたいだ。こんなに分かりやすく貪欲に求められるのって久しぶりのことで…ジクジクと胸の奥が熱くなってくる……
身体を後ろに倒されて、背中が畳についた。ふわりと香ってきたい草の香りを瞬間的に感じたものの、すぐさまやって来た深い口付けにそんな思考は遠のいていく。
「っん……ちょっと…零…」
「……堪らないな…やっぱり浴衣にしてもらってよかった」
「っ、ふ、ぁ……」
素肌の上を零の片手が滑っていく。乳房を包まれ、ギュっと全体を強く握りつぶすように揉まれて…更に胸の奥が苦しくなる。
荒々しいキスが止むこともなく、全て喰らい尽くされてしまうんじゃないかと思うくらい口内の深くまで貪られる。応えようにも上手くいかず、唾液が口の端から溢れていく。
「っあ…んんっ…」
「可愛い…」
すっかり硬くなっていた胸の先が、手のひらと擦れる。思わず上擦った声が出てしまった……零はボソリと呟くと、満足そうに目を細め、ふっと笑った。