Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第38章 Top priority -最優先事項-【降谷零】
零は、私が警察を辞めることを残念がったけど、反面ホッとしてもいたようだった。「まあ、が危険な目に遭う確率が下がったと思えば安心だよな…」とかなんとか言ってた…
職種が変わったおかげで圧倒的に私の自由な時間は増えて、二人で過ごせる時間も比例して増えた。とは言え零の休みは不規則なままだし、普通のサラリーマンカップルに比べたら会える時間は限られてるけれども。
数ヶ月前、私が警察を辞めてから初めての春。少しずつ暖かくなってきて、桜の開花も近いと言われ始めた頃のこと。
前々から、桜が咲いたら零と見に行きたいな…っては考えていて。
しかしテレビに流れる桜の開花予報と、手にした彼の勤務シフトを並べて見る限り、一緒にゆっくりお花見ができそうなのは一日だけだった。しかも空いてる時間は夜間のみ。
まあ、満開じゃなくたっていい、夜でもいい。「この日は夜桜見に行こうね!」って言ってたのに……
当日の昼過ぎに都内で凄惨な殺人事件が発生、日勤中だった零は現場に駆り出されたきり帰るに帰れずで……お花見どころではなくなってしまった。
警察の職務内容は私もよくよく理解してるつもりだ。こうなるのも仕方のないこと。
頭では分かってるんだけど……あの時は何度溜め息をついたか。
電話越しに申し訳なさそうに謝る零に、「いいよ、今回は一人で行ってくるから」って言ったら「何考えてる!殺人犯はまだ捕まってないんだぞ!こんな夜に一人で出歩くな!」って凄い剣幕で怒られてしまい……
家で一人で過ごした、なんとも虚しい夜だった。
私は零の職務の邪魔をしたい訳ではない(むしろバリバリ働く零はカッコイイ)。だけど次こそは…と、胸に秘めていることがある。
暑さが日に日に増してきて、夏真っ盛りもいよいよ近いだろう今日この頃。今夜は日勤を終えた零が私の自宅マンションに来ている。
一緒に夕食を食べて、一緒にお風呂に入って、お風呂場でそのまま流れるように一度、上がってからベッドでもう一度身体を重ねて……
今は21時半、裸のまま二人でベッドに寝転び、なんとなく肌を触り合いながらお互いの話を聞き、聞いてもらっていた……(つまりただイチャイチャしてるってことだ)