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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第38章 Top priority -最優先事項-【降谷零】


ある金曜日の夕方に、降谷くんから飲みに誘われた。まず直接誘ってもらえたことも嬉しかったのだけれど、待ち合わせに指定されたお店が当時の私の一番のお気に入りの店ってこともあって…「行きたい!行く!」って喜んで即決した記憶がある。

ところがいつもみたいに男女数人で飲みに行くのだとばかり思ってたら、店には待てど暮らせど降谷くんしかいなかった。

初めての二人だけの空間に戸惑いと緊張でいっぱいになりながらも食事して…ボチボチ帰ろうか、って頃になって。

「、僕と付き合ってくれないか」

突然真剣な声でそう言われ、心の底から驚いた。もちろん、告白された事にもだけど、何がって…私達の身を置いていた警察学校は恋愛禁止だったからだ。
コッソリ付き合ってる子達も中にはいた。だけど、あの真面目な降谷くんが規則を破るなんて考えられなかったのだ……

かくいう私はそんなに生真面目な性格でもない、断る理由なんてなかった。私達はその日から交際を始めた。




またそれからしばらく経ち、もう何度目かの外泊許可を揃って取り、ホテルで二人で過ごしていた夜。

「なんでマジメな零が規則破ってまで告白してくれたの?嬉しかったけどさ…」

ずっと気になってたことを聞いたら、彼は頬を少し赤くしながら答えてくれた。

「だって、警察官になったら毎日忙しいんだろ?今じゃないとと丸一日デートしたり…こういうことも滅多に出来ないんじゃないかと思ったら…破るしかないよな」

そのままベッドに押し倒されて…その日は何度も繰り返し身体を重ねた記憶がある。




警察官になったらメチャクチャ忙しい日々が待ってることは私も知ってはいた。ある程度は覚悟の上だったけど、実際になってみるとそれはそれは想像を遥かに超える激務で……

デートしようにも零と休みは合わない、それならせめて短い時間だけでも一緒に…って、会えたとしても、(強制入寮の)寮には門限もあるし、途中でどちらかに招集が掛かってしまうこともしょっちゅうだった。


加えて、体力はそれなりにある方だと思ってた私だけど…それでも警察の仕事は体力的にしんどくて。


これ程の激務は新米の間だけらしいことも知ってはいた、けれども……情けないことに私には耐えられなかった。私は1年も経たない内に警察を辞し、一般の会社に再就職した。
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