Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第5章 怪盗と夜のお散歩【キッド/快斗】
東都タワーの周りをぐるりと旋回して、元いた場所の近くに戻ってくる頃には、すっかり空の散歩を楽しめるようになっていた。
「だいぶ慣れたみてーだな」
「もう平気ー!すっごい楽しい!」
すると、ずっとお腹の辺りに回されていた腕がふっと離れて、あろうことか手のひらが乳房を包んできた。
「ちょ・・・っと!どこ触ってるの!」
「・・・おっぱい。だめ?」
信じられない。
しかも両手でふにふにと揉んできた。
「・・・っ!だめだって!」
「ここは空の中。私に身を任せるのが賢明ではないですか?お嬢さん?」
・・・何も反論できない。
まあ、彼もそれ以上のことはしてこず、そのうちハンググライダーの高度もだんだん下がってきて、最終的に私の自宅マンションの屋上へ降り立った。
取り付けられていた器具を全て外される。
少し歩くと、なんだか身体が重くなったような感覚。
そしてまた一体どういう仕掛けなのか全く分からないが、彼は翼をしまうと、キッドの姿から元の快斗くんに一瞬にして戻った。
「あー!楽しかったー・・・」
「お褒めに預かり光栄です」
「うん、ありがとう」
「んじゃちゃんちに戻るかー」
建物内の階段へ続く扉に(おそらく施錠されているはず)、彼がまた何か施し容易く開けて中に入り、自宅の部屋まで戻ってきた。
「ねえ?どこからキッドの衣装とかハンググライダーが出てくるの?」
「それは企業秘密・・・つーか、タネを明かしたら、ちゃんの驚く顔が見れなくなるから教えない」
「えー・・・」
「それより、身体冷えてねぇか?風に当たりっぱなしだったからなー」
ペタペタと頬や腕を触られて。
「風邪ひくとわりぃし、風呂入ろーぜ」
「入ろうぜって・・・快斗くんも、入るの?」
「俺に風邪ひかせる気?一緒にあったまろーぜ?」
肩に手を置かれ、風呂場へ身体を押されながら向かわされた。
お湯を張る準備をして、着替えやらタオルを出して部屋で待つ。
その間ずーっと快斗くんは私に張り付くようにべったりくっついてきて。
まるで可愛いペットでもできたような気分だ・・・