Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第36章 溢れた水は杯に返るのか【沖矢昴】
グラスをテーブルに置いた昴。その隣に浅く腰掛ければ、すぐさま腰が抱き寄せられ、身体の側面が昴とくっつく。またふわりと香ってくる、彼の匂い。
緊張で、肩が上がってくる……
「そう固くなるな…何も初めてじゃないんだから」
「で、でも…」
逆の手が頬に添えられ、親指ですりすりと頬を撫でられ。髪を耳に掛けられて。至近距離で見つめ合ってしまえば、どちらからともなく唇が重なり、またキスが止まらなくなる……
昴から甘いウイスキーの香りがする…私はウイスキー自体を好んで飲みはしないけど、彼からこの香りがするのは嫌いじゃなかった……やっぱり、今もそうみたい。
唇の隙間から差し込まれてきた舌に自分のそれを這わすようにしていれば、身体の力が抜けて、トロトロと思考も蕩けてくる。
それに伴ってどんどん熱を上げてくる身体…こんなことってかなり久しぶりのはずなのに、何故かしっくりきてるのは…相手がよくよく知ってる昴だからなのか……
唇が触れるか触れないかの距離で、しばらく無言で見つめ合う。頬を撫でてくる指に、自分の指を重ねる。
「…」
「…また昴にこーんなキスしてもらえるなんて…夢みたい…」
「…正直僕も…これは夢なんじゃないかと今日何度も思ってる…でも違うだろ?」
「そう、だよね…?ほんとに、ほんとなんだよね…?」
「おそらく。だが……明日、目覚めるまで…一緒にいてくれるか?」
「うん…」
両腕でしっかりと抱き締められて、耳やら首元に沢山キスされて…もうウズウズしてきた……
「ベッドに移るか…」
ボソっと昴が呟くと、身体が持ち上がる。寝室まで連れて行かれベッドに下ろされ、そのまま昴と一緒に倒れて。
彼の首元に手を掛ければ、唇が近付く。
また深いキスを繰り返しながら、お互いの身体を撫でるように触り合う……変わらない、広い背中と、しっかりした筋肉の感じ。
昴のネクタイに手を掛け、スルスルと解いて。シャツのボタンをひとつずつ外していく……前を開いて背中に腕を回せば、熱い素肌の感触が心地良い。
私の着てた服もいっぺんに捲り上げられて首から抜かれた。
そのまま抱き合えば、肌と肌が直に触れ合って、もっと気持ちいい……触れている所全部、身体中の全部が喜んでるみたいだ……