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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第36章 溢れた水は杯に返るのか【沖矢昴】


キスはしばらくして止んだけど、私達の間に漂う甘い空気は変わらないまま……

昴の熱っぽい顔に…彼が何を考えてるのか、言われなくたって分かる。

きっと、今からベッドに連れてかれるんだろう。

やっぱりそうだ。腰に手を回されたまま、だんだんと部屋の奥へ進まされていく。


「お風呂…入りたいな…?」

「そんなこと…気にするタイプだったか…?」

「ひ、久しぶりなんだもん…気にさせてよ…」




何度かお願いして、シャワーをさせてもらえることになった。


たしかに昔は家やらホテルやらに着いたらそのままベッドになだれ込むことも度々あった…ような気がする。でも今日は久しぶりすぎて色んな葛藤が頭に浮かんでくるんだし、何よりもそのままの身体を晒すのが恥ずかしい、っていう思いが一番大きい。


洗面所で服を脱いでいく。鏡に映る自分の身体は、あの頃と変わっただろうか……体重はほぼ変わってない筈だけど……


初めて入るのに勝手は分かってる浴室で身体を綺麗にして。

扉を開けてタオルで身体を拭いていると、これまた見覚えのあるものが目に飛び込んで来た。

棚の上に置かれている、部屋着のワンピース(以前私が昴の家で着てたもの)。置きっぱなしだったんだ…っていうか、昴、捨ててなかったのか。

広げてしばし眺めて、裸の上に着てみれば、ちょうどいいゆったりサイズ。そりゃそうだ、自分のものなんだから。

また心臓が煩くなりかけてきたのを抑えるよう、大きく息を吸って、吐いて……

部屋へ戻れば、昴もスーツの上着は脱いでいたようで。でも胸元近くまでシャツのボタンは開いてて、ネクタイも緩んでる。
羨ましい程長い脚を組んでソファに座り、(おそらく)ウイスキーの入ったグラスを片手に持つその姿は……目を見開いて一瞬固まってしまう程、男の色気が凄まじい。

昴ってこんなに色っぽかったか。それとも年齢を重ねた作用なのか。

私なんて若い頃に買った色っぽくも何ともない格好だし……違う意味で恥ずかしくなってきた。どうすればいいやら、その場に立ち尽くす。


「覚えているか?…その服」

「うん…捨ててなかったんだね」

「どうにも捨てられなかった。未練がましいだろ……まあそんなことより…早くこっちに来い……」

「う、うん…」
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