Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第35章 ヒミツの約束【快斗/キッド】
映画が終わって、お風呂の用意をしてもらい、先に入らせてもらった……身体はサッパリしたけど、心の中はスッキリしないままだ……
今日の為に準備した、可愛い下着と膝上のワンピースの部屋着。それらを身に着けて、快斗さんがいるであろうリビングに戻る。
「快斗さん…お風呂、ありがとうございました…」
「あー…俺もスグ済ませてくっから…テキトーに待ってろ…」
彼はろくに私と目も合わせず、廊下へ出て行く。
どうして快斗さんは急に素っ気なくなったんだろう。
一人沈んだ気持ちを抱えて、ソファの上で小さく縮こまる。テレビを見てても何も今は面白く感じない。
そうしてぼーっとしてる内にあっという間に快斗さんはお風呂を済ませてリビングに戻ってきて。キッチンの冷蔵庫から炭酸のジュースの入ったペットボトルを取り出すと、私の隣に腰を下ろした。
上下共にゆったりとした部屋着姿の快斗さん。これって、お泊まりじゃなきゃ見れない姿だ……いつもより少しだけ幼く見える気がする。
そしてありがたい事に、理由は分からないものの、もう彼の機嫌は悪くなさそう。
彼がゴクゴクとジュースを喉へ流し込んでいくのをじっと見つめる……
「も飲むか?」
「あ…はい」
別に欲しかった訳ではないんだけど、頂く。パチパチ弾ける泡が今日はやけに強く感じる。
「ありがとうございました…」
「ん。はいつも寝るときそんなカッコなのか?」
「これは…この前買った新しいやつなんです!」
「ふーん…すげーかわいい…」
「そ、それ…私も同じこと思ってました」
「は?俺が可愛いってか?」
「はい。なんかいつもと違って、かわいい…」
「ドコがだよ…可愛いのはおめーだろ?」
「ややや…っ」
もの凄く近くに快斗さんの顔が迫ってきて……おでこがくっつく。
至近距離で見つめ合ってしまい、あまりの恥ずかしさに目を瞑る。
でも、キス、されるのかなと思ったのに、一向に唇には何も触れて来ない……
うっすら目を開き、自分からチュっと口付けた。
驚いたような顔の快斗さんはまた一段と可愛くて、自然と笑みが溢れる。
「ふふっ!」
「あー…なんでこんなに可愛いんだよ……もう部屋行くぞ」
「えっ!はいっ!……よかった…」
「何が?」
「快斗さんが元に戻って」
「はぁ…?」