Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第35章 ヒミツの約束【快斗/キッド】
家に帰ったら帰ったで、今度はLINEで快斗さんとメッセージのやり取りが始まる。これももうすっかりいつものこと……
「家着きました!」
「俺もさっき着いたとこ」
「もっと一緒にいたかったなぁ…」
「いっつもそれだな。俺がいねーとそんなに寂しいか?」
「はい…時間経つの早すぎです!夜なんてこなきゃいいのに!」
宿題しなきゃとか、夜ご飯の準備を手伝わなきゃとか…色々あるのだけれど、私にとって優先事項ダントツNo.1は快斗さんへの返信だ。
だけど、今日は返信に困る内容が送られてきて、また一人で焦る。
「別に夜になったら会えねー訳じゃないだろ。今度ウチ泊まりに来るか?それならずっと一緒だろ?」
なんて返すのがいいのか。
“お泊まり=大人なコトをする”って即座に結び付けてしまった私はいやらしい子だろうか……快斗さんがそういうつもりかどうかも分からないのに。
散々迷って悩んだ挙句、結局ごくごく普通な返事をする……
「いいんですか?」
「ああ。でもの親は大丈夫なのか?いいんなら来いよ」
「聞いてみます…」
その晩、親に承諾を得て、週末のお泊まりが決定した。
「友達の家でお泊まり会がある」と嘘をついてしまったけど。
次の日学校で、その嘘に名前を使わせてもらった友達に口裏合わせを頼んだら、「も、ついにだね♡」なんてニヤニヤ茶化される。
「分かんないでしょ!快斗さんはそういうつもりじゃないかもだし…」
「いや、そういうつもりじゃない男子なんて男じゃない!」
「そ、そうなの……?」
「そうだよー!が、ん、ば、れ!」
「がんばれって…何を……」
可愛い下着を買っておくとか、お肌をツルツルにしておくこと、いい匂いのボディクリームを塗れとか、ツヤッツヤの唇になるリップを勧められたり……
とにかく快斗さんが触りたくなるような身体にしておけ!とのこと……
「快斗さんの親にもきちんと挨拶するんだよ?」
「も、もちろん!」
「親に嫌われたらもうお家に遊びに行けないからね」
「なるほど…」
他にも男の人が喜ぶこととか、色々と教えてもらって……初めての“お泊まり”に向けて、私は心構えを着々と身に付けていった……