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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第35章 ヒミツの約束【快斗/キッド】


今日の放課後は図書当番だった。特に変わった出来事もなく、いつものように時間が過ぎ、当番の時間が終われば、またいつものように準備室へ入って二人でのんびりと過ごす。

長い木製のベンチが私達の定位置だ。

ちなみに、快斗さんは人の声マネとか、マジックがプロ級に上手い。
今も校内の名物教師(日本史の先生で、厳しい生活指導の先生でもある)のマネをしながらトランプマジックを披露してくれている。


「ー、このトランプの数字を、よーく覚えるんである」

「えー、テストに出ますかー?」

「いいからー、覚えろと言ったらー、覚えるんである」

「アハハ!そっくり!はーい…」


快斗さんが私に見せていたカードはスペードの3。彼はそのカードを沢山の札の中に戻して、シャッフルして、ケースにしまった。そして、指をパチンと鳴らす。


「ー?その胸ポケットに入れてるものを出しなさいー。隠しても無駄である」

「えっ!?何も隠してない……えぇっ!?」


私の制服のポケットには、いつの間にかスペードの3のカードが入っていた。
ビックリして快斗さんを見れば、彼はしたり顔でホクホクしてる。私は快斗さんのこの顔が…結構好き。


「すごーい…どうやったの……!?」

「それは教えられねーな」

「やだ!教えて教えて!」

「…じゃー、がキスしてくれたら教えてやってもいーかな」

「え…」

「ほら、早く……んーっ」

「えぇぇ……っ」


今まで何度もキスはしたけど、自分からしたことなんてなかった。

唇を軽く突き出し顔を寄せてくる快斗さんに、勇気を出して自分からも近付く……目を閉じてそっと触れて、そーっと離れた。


「あーもう超可愛い…可愛すぎる…」

「っ!快斗さん…っ!あのっ!タネ明かしを…」


突然ギュッと身体を抱き締められて、焦る。

最近、快斗さんが私の身体に触れてくる回数が格段に増えた気がする。

今も、腰に手を回されたまま、髪とかほっぺたを撫でられてて…嫌じゃないけど、恥ずかしくて、何も言えなくなってしまう。




まあ、楽しい時間は本当にあっという間で。

窓の外が暗くなってきたから、そうなると私は家に帰らなければ怒られてしまうので。

学校の近くで快斗さんと別れて、残りの道をひとりで歩き、トボトボと自宅を目指した。
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