Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第35章 ヒミツの約束【快斗/キッド】
次の日学校に行けば、教室内はキッドの話でザワついていた。
昨日美術館の現場に行ってただの、飛んでるキッドを見ただの……
私、キッドと喋ったよ!それに、お願いを聞いてもらうことになったよ!なんて…とてもじゃないけど言い出す気にはなれず…なんとなく皆の話を聞く方に徹した。
でも昼休みになりお弁当を食べ終える頃には、話題もいつも通りの恋の話に戻ってきた。
「いいなー…私も彼氏欲しーい…」
「私もー…」
「でもさ、の場合、快斗さんは結構脈アリだと思うけどねー?」
「絶対ないって……」
「だって私らの方には見向きもしてないよ!?いっつものことしか見てない!」
「そうそう!」
「たまたま知ってるからでしょ…」
「絶対それだけじゃ無いって!…って……あれ、快斗さんじゃん!」
「うそ!?」
友達の視線の先を目で追えば、廊下側の窓から私達の教室内を覗いている快斗さんが見えた。
今までこんなことって一度もなかった。まさか…早速キッドの手が回ってるのか。
目が合うと、快斗さんは片手を高く上げる。そして、その手に手招かれる。
どうしよう…一体どういうことだ。身体が動かない。
「ほら!!早く行ってきなよ!」
「う、うん……」
肩を押されなんとか廊下に出るも、友人含め色んな所からの視線が突き刺さってるようで、なんとも落ち着かない……
「、ちょっと話あんだけど…いーか?」
「は、はい…でもできれば…場所を変えてもらえると……皆見てるから…」
「俺は別に見られててもいーんだけどな……分かった。来いよ」
「はい…」
歩き出した快斗さんの後ろについて校舎内を歩く。(隣を歩く勇気はない。そして人の視線から逃れることはできたけど、ちっとも落ち着かないままだ)
いつの間にか辺りは見覚えのない場所になり。他の生徒達の姿もなくなり。
空き部屋らしき扉の前で快斗さんは足を止めた。
「ココ、俺だけの秘密の場所……誰にも言うなよ?」
「大丈夫です……ココがどこなのかも私よく分かんないですし…」
「まー入れよ」
「はい……お邪魔します…」