Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第35章 ヒミツの約束【快斗/キッド】
「なー、は、彼氏いんの?」
「…!?…い、いません…」
「中学は?同じじゃねーよな?」
「…多分、そうだと思います、△△中だったので……く、黒羽さんは、どこの中…」
「俺は江古田中だけど……俺“快斗”って呼ばれる方が落ち着くんだよなー」
「…かかか、かい、とさん……?」
「かかかか、じゃなくて。かいと」
「…かいとさん……」
満足そうに笑った彼の顔からしばらく目が離せなくて……改めてマジマジとお顔を見てると、彼ってものすごく整った顔立ちだったんだと気付いた。
それから少しの間、放課後の図書室でお喋りしたのだけど……あの時は本気で心臓が壊れるかと思った。
それ以来快斗さんとはまともに喋れていない。
ただ、彼が図書当番の日に、わざと図書室に行って、本を読むフリをしつつカウンターに座る快斗さんを眺めたり……
移動教室の度に2年の教室の近くを通ってみたり……(ストーカーと呼ばないで)
そうやって学校の中で顔を合わせれば、快斗さんはコッチを見てニコッと笑いかけてくれたり、手を軽く振ってくれたりはした……
その度に私は顔を真っ赤にしては卒倒しかけ、一緒にいた友達に笑われるっていう情けない有り様だけど……
もう寝ても覚めても、頭の中は彼でいっぱいだった。
クラスに仲良しの友達も数人出来て、休み時間はもっぱら“恋”の話で盛り上がるのが日常になってきた。
みんなそれぞれ好きな人がいて、中には彼氏がいる子もいる。
彼氏がいる子達から聞く、男の人とのアレやコレやの話に……私はいつも快斗さんを重ねてしまっていた。
キスって、どんな感じなのか……それからもちろん、ベッドですることについても……
自分が初めてそういう事をするんなら、快斗さんとがいいな……なんてことまで考えてしまってた。
だけど快斗さんはカッコイイし、最近知ったのだけどすごく人気がある人だったみたいで。
私には到底手の届かない人なんだと……少しでも喋れただけで、奇跡だったんだと……最近は思ってる……
それでも、やっぱり好きな気持ちはどうしようもなく膨らんでいくばかり……