Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第35章 ヒミツの約束【快斗/キッド】
クラスの委員長に始まり、他のいろんな委員とか係とか、そういうのを決める運びになって。
本(愛読書は半分以上マンガだけど)も好きだし、何かやらなきゃいけないなら図書委員がいいかなー…って単純に思ってたら、クラスの中には誰も志願する人がおらず。思い切って手を上げて、私は図書委員になった。
そして初めて校内の図書委員全員が図書室に集められた時……何の偶然か、はたまた運命か…そこにその彼が現れたのだ。
図書室に入ってくる彼の姿を認識しただけで胸が高鳴って身体が硬直しそうだったのに……うわー!目が合った!?……と思えば、彼は私の真ん前の椅子に、こっちを向いて後ろ向きに座ってきた。
ジッと見つめられて、どこを見たらいい分からず、視線がアチコチ泳いだ。
「そーか、お前も図書委員か」
「は、はい……あの…もしかして…覚えてくれてたんですか…?…でも…あの時は…す!すみませんでした……」
「別にいーって……つーかそんなビクビクすんなよ…もっとフツーに喋ろーぜ?俺ってコワく見える?」
「い!いえ!その…っ」
“あなたを意識してるからこうなってるんですけど!”なんて事は言える訳もなく……モジモジしてたら教師も図書室に入ってきて、委員会が始まり……彼は前を向いてしまい。
終始彼の背中を見つめながら、時を過ごした。
図書委員は、昼休みや放課後に、当番制で本の貸出や返却の受付を行うのが基本のお仕事……これは想定内。他にも色々仕事はあるけれど…
配られたプリントにて、彼が“2年B組の黒羽快斗さん”だということが分かった。もう、これだけで大収穫だった。
委員会が終了し、私は椅子から立ち上がり、半ば放心状態で図書室の出入り口へ……
でも廊下へ出る寸前の所で、自分の名前が呼ばれていることに気付いた。恐る恐る声の方へ振り返れば、黒羽さんがこっちを見て手招きしていたもんだから更に驚く。
「おーい!ー!ちょっと!」
「っ……?わ、私、ですか?」
「他に誰がいんだよ」
他の生徒達の視線が自分に突き刺さる中……すごくぎこちない動きで私は元いた席へと戻った。