Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第33章 助けたアイツが嫁になった【松田陣平】
東京で二人で迎えた初めての冬。
ある日と近所のスーパーで買い物をした帰り道、雪がチラついてんのを見ながら、俺もも出会った日のことを思い出していたようだった。
「陣平さん覚えてるー?」
「ーん?何をだ」
「私が初めて陣平さん達に会ったのも、こんな天気の日だった」
「奇遇だな、俺も今そう思ってた」
「すごい!一緒に住んでると考えることまで一緒になってくるのかなー…」
「かもしんねーな……」
家に着き、料理を始めるを横目に俺は缶ビールを開け、近くの椅子に座って飲み始めた。
「あっ!……あー…ほうれん草買ってくるの忘れた…どうしよ…」
「ほうれん草くらいなくても大して味は変わんねーだろ」
「あ、でも…冷凍庫に何かあったかも…?……あーあ…私ってほんとバカ……」
「お前のバカにはもう慣れたわ……つーか…がバカじゃなけりゃ俺ら出会ってもなかったぞ……」
「…たしかに……ほんとあの時は…ご迷惑お掛けしました……」
「別に迷惑とかじゃ……むしろ楽しませてもらったな」
「そっか……ははは。まーた来年も陣平さんとこうしてるのかな」
「だろうな。来年も、その次も、そのまた次も……」
ずっとコイツといるんだろう。そう思ったら無性にに触れたくなってきた。立ち上がり調理台にビールを置き、まな板に向かっているの背後から、腹に腕を回す。
「いいの?こんなバカと毎年一緒でも…」
「いいぞ?見てて飽きねーし……、結婚するか?」
「け…!?っけ、っこん!?」
「ああ。嫌なのか?」
「い、や…じゃない……けど、急だね…」
「俺、実は結婚ってよく分かんねーんだけど。するんならしか考えられねんだわ」
「私もよく分かんない…でも陣平さんとは一緒にいたいよ?……でも急になんで?親御さんにせかされたとか」
「いや。今俺がそう思っただけだ」
「そか……いいよ。しよっか……」
今思えばロマンチックの欠片もないプロポーズだった。(あとで交番のヤツらにその日の事を話したらすげー笑われて腹が立った)
そして俺達は冬が明けた春、競うように桜が咲き出した日に入籍した。