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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第32章 POP HIS CHERRY【降谷零の場合】


バーによくある背の高い椅子。それに座り店のメニューに目を落としている。昼間は膝上ばかりに目を取られていたけど、スカートからすらりと伸びる膝下も綺麗だ。

彼女を性の対象として捉える心構えは着々と整ってきている、と言える。


ずっと真剣に下を見つめていた彼女が、しばらくぶりに口を開いた。


「降谷さんってお酒は詳しいですか?」

「どうだろう、人並みじゃないかな」

「私、ひとつ飲みたいカクテルがあるんです」

「でも…その酒の名前が分からない、って?」

「すごい、その通りです」

「そういうのは僕よりも…彼に聞くといいんじゃないか?」


白シャツに黒ベスト、黒いタイのバーテンダーと目が合い、彼は僕達の前にやってくる。


「すみません、彼女が飲みたいカクテルの名前を忘れてしまったそうで。何だったか分かりませんか?」

「どうでしょう…色や、味は分かりますか?」

「えっと…赤くて、透き通ってて、少し甘くて…」


バーテンがいくつかカクテルの名前を挙げるが、彼女はいまいちピンときていないようだ。


「それも違うなら…ワインを使ったカクテルでしょうか?キールやキールロワイヤル、キティとか…」

「あっ!?それかもしれません!キーなんとか?」

「キールロワイヤル…」

「…!それ!それかも!それください!」

「僕は…マッカランを」

「かしこまりました」


しばらくして出された赤色のカクテルに、は目を輝かせて興奮している。もう自分が秘書であることは完全に忘れてしまったか。


「んー!これ!これ!ありがとうございます!美味しいー…」


一口飲むと更に彼女のテンションは高揚していく。やっぱりこっちのの方が断然可愛い。


「お酒を堪能されている所すみません、さんはお酒が進むと随分キャラが変わるんですね」

「あ…ごめん、じゃない、失礼しました…」

「いいよ、もう。そのままでもは魅力的だから。夜も一緒に過ごしたいと思えるよ」

「…え」

「この後僕達がそういうことをするんなら、いつものとの方がいい」

「…そう?」


肩をすぼめて頬を赤らめるは本当に可愛いと思う。

無理矢理にでも雰囲気を作らなければどうこうなんて出来ないと思ってたけど…もう充分だ。
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