Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第32章 POP HIS CHERRY【降谷零の場合】
「それで、降谷さん…私にしたい話っていうのは…?」
「ああ…まあ、もう少し食べてからにしましょう。お肉、追加しますか?」
「…ええ、はい…」
秘書に成り切ってるの顔付きは、ずっとどこか冷たかったけど、肉を頬張った瞬間だけはすごく柔らかくなる。
何枚でも食べさせて、ずっと見ていたいくらい……
まあ、いつまでもとはいかない。追加で頼んだ肉も無くなったタイミングで、切り出した。
「さんは…これから先も先生の秘書を続ける予定なんですか?」
「…そうですね、必要としてもらえる限りは」
「だったら、辞めた方がいい」
「……?何故です」
「あの先生が裏でされていることはご存じですか」
互いに役に入り込んでるとは言え、ピリつき出した空気……
……またの表情は氷のように冷たくなってしまった。
「…ウチの先生が何か悪い事をしている、という事でしょうか?」
「ああ。君はいつか濡れ衣を着せられて、切り捨てられるぞ」
「…なぜ貴方にそんなことを言われなきゃならないんです」
「……僕は君を助けたいだけなんだ、貶めようとしている訳じゃない…まずそれは、信じてくれないか」
「降谷さんに心配される覚えはありません…それに、私は貴方よりも先生を信頼してますから」
「先生が重大な悪事を働いていたと分かっても、まだそう言えるか?」
「悪事って…内容にもよります…一体、何だって言うんですか……」
不安気に(そう見える顔で)コチラを見つめてくる彼女……僕の思惑通りに話が進めばいいんだが。
悪い政治家がやってそうな悪事を思い付く限り並べて話せば……彼女は首を傾げ怪訝そうな顔をする。
「どうですか?聞き慣れた企業や地域の名前もあったかと思います」
「ですが…そのような話は聞いたことがありません」
「でももしそれらが本当なら、止めさせたいとは思うだろ?」
「それは、そうですが…」
「僕と組んで、先生の悪を暴かないか。さんが協力してくれれば、証拠を揃えるのも訳無い…」
「あの、降谷さん………私が先生を裏切って其方の味方になるとでもお思いですか?」
一際冷たい声色に、向けられた軽蔑の視線。
これが現実だったら大失敗、僕は消されるだろうか……?