Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第32章 POP HIS CHERRY【降谷零の場合】
とは警察学校時代は普通に喋ったりする仲だった。まあ、彼女は僕よりも萩原とよく喋っていたとは思うが。
女の子のクセに男の中に混じって、くだらない話もできる子。
成績は女子の中ではいつも上位だったはずだ。
それに…綺麗な顔立ちに…スタイルもいい。
彼女のことを“女性”として意識したことは何度もある。(警察組織に女性は極めて少ないからかもしれないけど)
でも今のこの状況は、未だに理解できない。
なのには全然臆してもないのか、一人楽しそうにケラケラ笑ってる。
一体どうすればいい。
……いずれ潜入捜査にあたるとなれば、好きでもない女性と親密になる必要もいつかは出てくるんだろう、その為の訓練だと思って臨むしかないのか。
助手席に座るのスカートの裾から覗く膝上が綺麗で内心ソワソワし出している自分がいるのも確かだけど……
やっぱり今すぐ彼女とどうこうなれと言われても…無理だ。
「なあ、……」
「んー?」
「これから僕は君のことを、潜入先で攻略しなければいけない対象者だと思って接することにしようと思う。どうだ?」
「おっ!いいね。楽しそう!どういう設定にする?」
「僕がヤクザに潜入したての下っ端構成員で、はボスの女、とか」
「なんかありきたりー……あ、FBIとCIAでライバルスパイ同士の腹の探り合いとかは?」
「それも違うな…もっと分かりやすい何か……」
「じゃあ……超大物悪徳政治家の美人秘書と、悪を暴く証拠を掴みたい記者に扮するイケメン捜査官…」
「……悪くない、それでいこう」
「うん。なんかしっくりくる」
「今から国会議事堂にでも行くか?役に入り込めるかもしれない」
「いいねいいね!」
ずっと宛もなく首都高の同じ所をグルグル回っていたけど、結局乗ってきた所と同じインターで降りて、国会議事堂前へ向かう。
これからは政治家の秘書……僕は記者に扮して彼女に近付き、彼女を懐柔し、僕の言うことを聞くように仕立て、情報を引き出す……頭の中で何度も繰り返す。