Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第4章 たまにはお外で【沖矢/赤井】
「それで?電話は何だったんですか?」
「ああ・・・ボスからだったんだが、要点をまとめると、近頃、赤井秀一そっくりに化けた輩がその辺をうろついているらしい」
「・・・それって」
「赤井の姿で俺の知り合いの前に現れ、そいつらの反応を見ているんだろう、俺の死を確信していない奴の仕業だな」
「大丈夫?赤井さん・・・」
「俺は心配ないが、は気を付けろよ」
「外で赤井さんに会う訳がないんですからー・・・大丈夫ですよ」
「頼むぞ?見かけたらすぐに連絡しろ」
「はい・・・で、あの、わたしに緊急の要件っていうのは?」
「それはだな・・・」
信号待ちで停車している車の中。
彼の片手が履いているスカートの裾から侵入し、ももを撫でてきた。
「ちょっと・・・赤井さん」
「いいだろ、これくらい」
それに、てっきり家の方に帰るもんだと思っていたが、向かっている方向がどうも違うようで。
無駄に派手な建物が並ぶ路地に車が入り、もしや、と思いそれを口に出そうとした頃には、その疑念が確信に変わる。
「お前が誰のモノなのか、今すぐ教える必要があると思ってな」
車が仰々しい建物に入っていく。
これはラブホテルだ。
赤井さんとは勿論のこと、沖矢さんとだって、こういう所には今まで来たことがない。
駐車場に車を停め、彼がまた喉の変声機をいじる。
こう頻繁に沖矢と赤井を切り替えられると対応に戸惑う。
「さあ、さん、降りてください」
「ほんとに入るんですか・・・?」
「行きましょう」
しぶしぶ車から降りると沖矢さんに腰に手を回される・・・
入口から建物の中に入るとまあ無駄に煌びやかなロビーだ。
「実は連れてきたは良いものの、日本のこういう所に来るのは初めてなので・・・いまいち勝手が分からないんです。さんは分かりますか?」
「そこで、部屋を選んで、その部屋に行くんです」
「ご存知なんですか・・・妬けますね」
「この歳で知らない方が珍しいです・・・」
選んだ部屋の中に入ると、すぐに彼の声と態度は再び赤井さんに戻る。
こう頻繁に切り替えられるとこっちも大変だ。
「さっきの男とはこういう所には来たことあるのか?」
「ないない!ないですって」