Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第32章 POP HIS CHERRY【降谷零の場合】
「せっかく三日もお休みもらったんだから、早めに終わらせて後は遊んじゃおうよ」
「それには賛成だけど…まずは僕の話を聞いてくれないか」
「うん。何?」
「……とりあえず、場所を変えようか」
「どこにする?ラブホ?お金ももらったし、どうせならいいホテル泊まっちゃう?」
「…イキナリだな」
「いきなりも何もする事は決まってるんだから……ベッドとシャワーがあって二人になれる所がいいでしょ?」
「もっと雰囲気だとか…無いのか?」
「雰囲気……じゃあ、デートでもする?」
盛大に溜め息を吐いた零くん……彼の車で庁舎を出て、とりあえず首都高に乗り、宛のないドライブが始まった。
外はなんだか良い天気で、ぼちぼちのデート日和だ。とは言っても二人ともスーツ姿だからか、ちっとも“デート感”は無い。
またひとつ大きな溜め息を吐いて、零くんがえらく真面目な口調で切り出した。
「……聞いてくれ。僕は女性経験が全く無いわけじゃないんだ」
「うん…?彼女、いたんだもんね?」
「そう。デートだって、キスだってしたことはあるし、ベッドに入ったこともある。女の子の裸だって見たし、触ったし…」
「…んん?」
「でも僕はどうやら人と違うみたいでさ……誰にも言うなよ?こんな話、ヒロにもしてないから」
「うん…?」(“ヒロ”とは、同期の一人で、零くんの親友のことだ。今は私と近い部署にいる)
「僕は…ココが…大きすぎるらしいんだ」
ココ…と、彼の左手の先が指しているのは彼の股間だ……
「…え……えーっと、そんなにすごいの……?」
「他人と比べたことはないから分からない。でも付き合ってた子には無理だって言われた。だからとも出来ない可能性が高い」
「……めちゃくちゃ痛がられて途中でやめた…とか?」
「いや。見られた瞬間彼女の顔が青褪めていってすごく怖がられて……正直トラウマになってる。それ以来女の子とどうこうなろうとも思えなくなった……」
「……零くんってさ、下ネタになるとノリ悪いなーって…実は思ってたけど…そんなことが……」
「…萩原とはしょっちゅうそういう話で盛り上がってたな」
「萩原くんは特にそういう話大好きだったねー…」(“萩原”も、同期の一人だ)