Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第32章 POP HIS CHERRY【降谷零の場合】
〜日本 東京〜 24歳
九割方地獄のような日々だった警察学校を経て、私も警察官になり。警視庁の公安部に配属され、日々先輩方を見習いながら職務に励む日々が続いていた。
今はまだ下っ端の下っ端、“女は扱いにくい”なんて陰口を言われることもあるけど…そのうち絶対そんなこと言われないくらい立派になるつもりだ。
(男ばかりの警察組織に身を置き、ここしばらくは恋愛とも無縁、随分自分の性格もサッパリしたように思う)
でも、この前女性の上官から変なアンケートに答えさせられた。“正直に書かないと後悔する”と脅しに近い口調で言われ、正直に書いたけど…とんでもない内容だった。
男性経験についてや、経験人数、現在の恋人の有無とか……
そして昨日その上官に呼び出された。
「唐突だが、ある男性捜査官の筆下ろしをしないか」
「ふで…?」
「初体験をさせてやるって事だ」
「はっ…え…っ!?」
「…その彼は有能なんだが女性経験が無いのが潜入捜査官になるには唯一致命的でね…」
「ああ……それはたしかに心配ですが…」
「彼は中々のイケメンだからも役得だぞ?」
「イケメンとか関係ないです…なんで私なんですか」
「アンケートを見るに、が今期の女性警官の中で、一番男慣れしてそうだからだ」
「どこがですか!ちょっと待ってくださいよ……」
「交際人数より経験人数の方が多いじゃないか」
「そこまで違わないと思いますけど!?」
「とにかく、有能な捜査官を育てる為だと思って!これも世の為国の為だ!」
「……断れないんですか?」
「そうだね」
「……誰なんです…?その童貞捜査官…」
「目立つタイプだからおそらく知ってるだろう…降谷という、」
「はっ!?無理です!知り合いです!」
「そうか。知り合いの方が色々手間が省けていいじゃないか」
「ええぇ……」
こうして、私は零くんの上官の元へ送られ、本日お昼過ぎ、彼と久々に対面することとなった。
気持ちはかなり複雑だけど……上官の命令は絶対(警察って狂ってると思う)……これも世の為、国の為……どうせやるなら楽しんでしまえ、と自分に暗示をかけ……覚悟を決めた。
私達には、2泊3日の休暇(?)と、現金10万円が支給された。