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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第31章 POP HIS CHERRY【赤井秀一の場合】


「ん!美味しい!飲みやすい!」

「日本でも人気のビールだな」

「へえ…全然知らなかった」


こんなにフルーティーなビールがあったのか!ってくらい、衝撃的にいい香りのビールに感動する。

隣の彼は茶色いお酒をすいすいと飲んでる…お酒、強いんだろうな。


「ここには旅行に来たのか?」

「…はい。そうです」

「一人でか」

「それが…まあ、そうなんですよね……」

「…何かワケアリのようだな」

「……分かります?」


日本語で話せてるから、だけじゃない。妙に落ち着く、彼の低いトーンの声と穏やかな喋り方。

全部受け止めてくれそうな…懐の深そうな…何と言えばいいのか…大人の男性、今まで自分の周りにはいなかったタイプ。

濃い色のシャツの上に羽織った黒い革のジャケットがとっても似合ってる。こんな格好が似合う男友達も私の周りにはいない。

こんな素敵な人と旅行できたらよかったのにー…なんて分不相応なことをふと思ってしまって、一人情けなくなる。


「差し支えなければ…聞いてもいいか?無理に話せとは言わんが」

「…楽しい話じゃないですよ?」

「それは顔色から察してはいるが…それよりまず先に名前を聞こうか」

「あ……私は、です……貴方は?」

「か…俺は秀一だ。折角こんな土地で知り合ったんだ、日本人同士、仲良くしてくれ」

「は、はい、こちらこそ…」


片腕が伸びてきて、握手を求められる。大きな手のひらに自分の手を重ねれば、ギュッと握られて。その力強さに、彼が“異性”であることを意識せざるを得ない。

手が離れてもまだ握られた感触が残ってるようで…なんだか妙に落ち着かなくなってきた。


「歳はいくつだ?俺より下だな?」

「…ですよね?21です」

「3つ下か」

「24!?大人っぽーい…」

「…苦労すると人間老けて見えるようだな」

「いや老けてません!大人っぽくって素敵だなってことですから!気を悪くさせてしまってたら、すみません…」

「いや、いい……日本人は欧米人に比べて幼く見えるだろう?俺は年齢以上に若く見られるのが嫌でね…昔からわざと大人びたように振る舞う癖があってだな……だからむしろ今のは褒め言葉だ」


彼のクールな印象の面持ちが少し緩んで…目を見つめられ微笑まれたように思う。

ほんとに、かっこいい……
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