Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第31章 POP HIS CHERRY【赤井秀一の場合】
〜アメリカ ワシントンD.C.〜 21歳
楽しみにしてたワシントン・ニューヨーク旅行…本当なら彼氏と二人で来る筈だったのに。
出発の2日前に彼氏の酷い浮気が発覚、私達は別れることになって…旅行もキャンセルしようとしたけど、直前すぎて結構なキャンセル料がかかるみたいで……
それならこの際一人で行ってやる!と思い切って単身日本を飛び出してきた。
だけど飛行機でも隣は空席。到着して夕方ホテルの部屋に入っても、とっても綺麗でいい部屋なんだけど、おそらく持て余すだろう大きなベッドがやたら目につくんだし…
むしゃくしゃしながらホテルを出て夕食を取ったはいい、けどまだホテルには戻りたくなくて。
通って来た道沿いにあった雰囲気の良さそうなバーへ入った。
一人で飲みに行くなんて、日本でもしたことないのに。(私はお酒が強い訳でもない)
まあ、旅行中って気が大きくなるってよく聞く。旅の恥は掻き捨てとも言う…
一人だし、カウンターに座るのが無難?と思って他のお客さんと若干の距離を取りつつバー特有の背の高い椅子に座った。
そしてドリンクのメニューらしきものを見るけど…何を頼めばいいのやら…
周りのお客さんを見てみると…ビールとか、茶色いお酒(ウイスキー?ブランデー?)を飲んでる人が多いのかな……できればあまり苦くないのがいいんだけど……えーと……
「日本人か?」
「えっ!え…はい!」
ビックリした……カウンターの空席を2つ挟んで隣にいた男性に日本語で話し掛けられて。咄嗟に返事をしてそっちを向いたけれども……そこに居たのは日本人らしき顔立ちのクールなイケメン!脚も長くてスタイルも抜群だ……!
「珍しいな。俺も日本人だ。一人なのか?」
「ほんと!まあ、今日は色々あって…一人、なんです…」
「俺も今夜は一人でね。よかったらご一緒しても?」
「いいんですか…?あ、このままじゃアレですし…私、そっちに行きますね」
半日ぶりに聞いた日本語に安心感を覚えたのもあったのか。(イケメンだったことも大きいと思うけど)
初対面の男性のことを何も疑うことなく、私は彼の隣の席に移動したのだった。
「何を頼めばいいか分からない」と言えば、彼は定番どころのお酒をいくつか教えてくれて。その中から比較的飲みやすそうなビールをチョイスした。