Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第29章 寄せは俗手で【羽田秀吉】
握られたままだった手がパッと離され。秀吉は私達にスマホを向けている人達に歩み寄る。
大丈夫なんだろうか……私は少し後ろからその様子を伺う。
秀吉「すみません、カメラはちょっと困るかな…僕はいいけど、この子は一般人だから」
彼らのスマホを持つ手が下がり、とりあえず一安心……
通行人「は、はい…すみませんでした……あの、もしかして…彼女さんなんですか?」
秀吉「まあね、もうすぐ僕の妻になる人なんだ」
通行人「ええっ!結婚されるんですね!おめでとうございます!」
「ちょっと秀吉!そんなことまで……!」
秀吉「別にいいだろ?本当の事だし。それにどっちみち明日の昼のワイドショーで結婚の発表はするつもりだよ……だから君達、この事は明日の昼まで内緒にしておいてもらえないかな?」
通行人「わ、分かりました!」
秀吉「じゃ、行こうか」
「う、うん……」
再び秀吉に手を取られ、しっかりと握られて。まるで宝石の森のようなイルミネーションの下を早足気味に進んでいく。
私達、ほんとに結婚するんだ……!?
もちろん嫌な訳じゃない。むしろ喜ぶべきことなんだろうけど、展開が急過ぎて未だに信じられなくて……秀吉の手を握りながらなんとか歩く。
「あーっ…やっと言えたよ……なんか緊張して気が緩んだらお腹空いてきたな」
「えっ、もう!?」
「ラーメン行かない?」
「…私1杯も食べれないと思う…」
「……なら、が作ってよ!僕の家で!」
「ラーメンを?…インスタントでもいいんなら…?」
「うん!やったー!夢だったんだよねー!に作ってもらうの!」
あまりにも秀吉が喜ぶもんだから……正直作るのはかなり面倒だけど嫌とも言えず。スーパーに寄って秀吉の住むマンションに着いた。
(道中、スーパーでも、終始彼は羽が生えたようにはしゃいでて、子供みたいだった。可愛いんだけど…恥ずかしいのなんのって…)
彼の家には前にも来たことはあるけれど、二人きりなのは当然ながら初めて。
秀吉って一人暮らしのクセにすっごい立派な所に住んでるんだよなぁ……わざわざ引っ越さなくても、もう私達の家、ここでいいんじゃないのか、ってくらい……