Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第29章 寄せは俗手で【羽田秀吉】
秀吉の会見中継は終わり、テレビ画面は通常のニュースに切り替わった。
上司「いやー、それにしても太閤名人のおかげでしばらく将棋界は安泰だな!」
「そうですねー…」(グッズは山程売れるわ、有料のイベントも毎度満員御礼だわ、寄付金も増えたわ…将棋連盟の資金を秀吉は沢山稼いでくれてるのだ)
上司「しかしあれだけの人気だろ、恋人の一人や二人…本当にいないのかね?ちゃん、仲良いんだろ?聞いてないかい?」
「聞いてないですけど…あの普段の秀吉の姿なんか見たら百年の恋もきっと冷めますって」
上司「たしかにな!ハッハッハ…先生方はあまり身なりに関心がない方も多いからな!」
現在秀吉に恋人は……とてもいるようには思えない。女っ気が無さ過ぎるのもどうかと思うけど…モテ過ぎるのも嫌だし……複雑!
実際の所はどうなんだろうか。彼女欲しいとか、結婚したいとか…秀吉は思ったりするんだろうか。
…でも彼の頭の中って9割以上を棋譜が占めてるんじゃないかと思う。
話すことと言えばほとんど将棋の話だし。
だから他の事なんて入る余地は無さそうで…
今まで思いを告げようかと考えたこともあったけど、きっと将棋の邪魔になっちゃうな、って……諦めてた。
でもなぁ……ずっと一人でこんなにヤキモキしてるのも……
今夜は秀吉含め同年代の将棋仲間4人で食事をすることになっている。秀吉の勝利祝賀会だ。(もし負けた場合は残念会になる)
秀吉はああ見えて色々あって、家族にはあまり恵まれてないみたいで…大きな賞やタイトルを獲った時のお祝いはいつも友人達でするのか恒例なのだ。
その仲間、私以外はみーんなプロ棋士…秀吉は別格だとしても、晃(あきら)と桜(さくら)もそれぞれ男子と女子の上位の有段者。
まあ昔と立場は変わったけど、4人で仲良くしてることには変わりない。
(私にはプロで生計を立てていける程の技量は無かった。ちなみにこの事務局で働くように勧めてくれたのは、秀吉)
今日はお酒も飲むだろうし…酔った勢いでさり気なく恋愛の話なんて…聞いてみてもいいだろうか。