Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第28章 手作りスイーツに下心【安室透】
素敵だな、好きになっちゃったかも、って思ってた男性とこんな状況になって、胸が高鳴ってるのは事実だけど…急すぎる。
「実は僕…結構前からさんのこと気になってたんです。でもお客様ですからね、どうしたら親しくなれるのかずっと考えてたんです」
「うそ…」
「いつもさんのこと見てたんですけどね。気付きませんでした?」
「ぜんぜん……」
じっと目を覗き込まれ。いつもと違う顔付きの彼に…息が詰まりそうになる。
小説の中なら…こんな展開も“文句なしのアリ”だけど。
いつも頭の中では男女のそんな事ばっかり考えてるのに、いざ自分の事となると…頭が全く回らない。
「さん……嫌なら、ちゃんと嫌がってください…じゃないとこのまま…」
嫌じゃないけど……上手く言葉か出てこない。
これが今日書きかけてた小説の中だったら、私はヒロインに何て言わせてただろう…?
“思いっ切り抱かれて気持ちよくなって全部忘れたい”
…そんなこと、恥ずかし過ぎて言えないし。
彼の肩の辺りに手を伸ばして触れてみる。
「…嫌じゃない、から…あの……っ」
なんとか吐き出しかけた言葉を全て言い終わる前に、唇は塞がれてしまう。
「ん…っ、あ、むろさ…っぁ……」
「可愛い…さん……」
キス…してる、みたいだ。
柔らかくて、なんだかすっごく、いい匂いがする……