Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第28章 手作りスイーツに下心【安室透】
今日はイチゴと生クリームの乗ったデザートをサービスされたり、不審者に出くわしたけどイケメンに助けられたり…頭の中に浮かんだ事柄が次々に現実で起こる…良くも悪くも恐ろしい日だ。
自分がストーカー(?)に遭ってただなんて夢にも思わなかった。
見ず知らずの男に勝手に好かれてたとか…有り得ない。(私は美人でもない、いたって普通の容姿だし)
ドアを開け自宅に入って、続いて安室さんを招き入れる。部屋の中はあまり片付いてないけど仕方ない。
……これまでこの部屋の中をこんなにゆっくりと歩いた事はあっただろうか。ウチはよくある1DKの部屋。トイレ、お風呂、ダイニング、寝室、クローゼットの中、ベッドの下までヒヤヒヤしながら覗き込み、何も異常は無いと確認できた。これでひと安心だ。
「大丈夫、です…良かった……もう…すみません!こんな所までついてきてもらって。安室さんのおかげで本当に助かりました!ありがとうございます」
「いえ、お気になさらず」
しかし……安心して気が緩んだんだろうか。何故だか全く分からないんだけど気付いたら脚に力が入らなくなって。寝室の床にヘナヘナと座り込んでしまった。
「あ、れ…?立てない…」
「大丈夫ですか…」
「なんでだろ…すみません…」
隣に座り込み、肩を抱いて寄り添ってくれる安室さん……何から何まで…申し訳ない。
「気にしなくていいですから。さんが落ち着くまで一緒に居ますよ」
「ありがとうございます…」
今日は安室さんがいてくれて、本当に有り難かった。と言うより…助けに来てくれた時の安室さんがめっちゃくちゃ格好良くて…好き、になっちゃったかもしれない……そんな思いが頭をグルグルと掛け巡る。
そう考え出してしまえば、自宅で二人きり、しかも肩を抱かれているこの状況が、とんでもなくすごいことに思えてきた。
いやでも、緊急事態だったし。安室さんだって仕方なくこうしてくれてるだけだろう。なんとかソワソワした気持ちを落ち着かせる。