Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第28章 手作りスイーツに下心【安室透】
PCを閉じて、今日も変わらず美味しいパスタを食べながら……頭の中は、安室と呼ばれるあの男性だったら、どうヒロインを攻めるだろうか、って妄想でモヤモヤとしてる。
それにしても……ポアロのパスタは元々美味しかったけど、彼が店に入るようになってから更にランクアップした気がする。ほんと、スゴい男だ、彼は。
料理の出来る男性……作りかけの料理をヒロインに“あーん”ってつまみ食いさせてあげるとか……王道だけどヒロインの裸に生クリームとイチゴを乗せて食べちゃうとか……いつかこのネタも使えるだろうか。
パスタを食べ終え、紅茶のカップも空になり。いつもの如く店員を呼んで、追加のコーヒーを頼む。
「すみません!コーヒーください!」
「コーヒーですね!かしこまりました!」
テーブルにお皿を下げに来たのは安室さん。肘上まで捲られたシャツの裾から伸びる腕は意外と筋肉質。だけど皿に添えられる指はスラリと長くて綺麗なんだよな。
ふとその彼としっかりと目が合って、ニコリと微笑まれる。
咄嗟に笑い返したけど……こんなことって初めてな気がする。
ちょっと、くすぐったいような、変な感じ……
しばらくして再び彼がコーヒーをトレーに乗せてやって来て、テーブルにコトリと置く。
「お待たせしました。どうぞ」
「ありがとうございます」
彼はカウンター内へ戻り。さて。仕事再開だ。再びPCを広げれば、編集さんからメールが届いていて。先程送ったプロットでOKとのことだった。
そのファイルを開いて、もっと細かく内容を付け足していく。
……暴漢に襲われたヒロインの服はどの辺まで乱そうか。やっぱり際どい所がギリギリ隠れてるくらいがいいか。それを見たイケメンも内心ドキドキしちゃうっていうね……
……二人が部屋に上がってからはとりあえずヒロインをお風呂に入らせたい。でも中々浴室から出て来ないヒロインを心配してイケメンが声を掛ける。が、中でヒロインは泣いてて。思わず入って訳を聞いて、裸の彼女を抱き締め慰めてるうちに理性が崩壊してしまうと……
「お邪魔でしたらすみません。よかったら、これ、店からのサービスです。お口に合うと良いのですが」
「っえ!?」
ビッ…クリした……声を掛けられるまで気付かなかった。安室さんがお皿を片手に、再び私の斜め前に立っていたのだ。