Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第28章 手作りスイーツに下心【安室透】
ある時は脳内で彼をホスト(稼いだ額は億超えの男)にしてみたり、またある時はバーテンダー(超モテる男)にしてみたり、エリートサラリーマン(所謂スパダリ)にしてみたり……とにかく安室と呼ばれる彼を見ていると、ポンポンと妄想が膨らむのだ。
次はどんな設定でいこうか……PCとにらめっこしてるフリをしつつ、彼と、カウンター席に座る女性客との会話に聞き耳を立てる。
……どうやらこの女性客、最近ストーカーに遭ってるらしく、今日はその相談をしに来てるようだ。
「とにかく怪我がなくて何よりですが…心配ですね」
「安室さん…どうか私に護身術を教えてください!」
「ええ、それは構いませんが……いざとなると何も出来なくなってしまう女性が大半ですよ、そういう時はとにかく逃げることが大事です」
……物騒な世の中だ。けど小説の中なら……愛さえあれば無理矢理陵辱系もアリだったりする。
いや、暴漢に襲われてるヒロインをイケメンが救い出して、救ったイケメンが結局ヒロインを食っちゃうっていう展開も悪くない。
安室さんのイメージに合うのは…後者だけど。とりあえず今日はその骨組みでプロットを作ってみることにした。
夜の薄暗い路地、ヒロインが突然見知らぬ男に絡まれる、抵抗しようにも身体が強ばって動けず、逃げることも出来ず。
地面に倒され、襲われながらも必死の思いで上げた僅かな叫び声に気付いたイケメンが助けに来て暴漢を撃退、汚れてしまった身体と衣服を隠すために上着を貸してくれる、家まで送ってくれる、一人じゃ怖いと言うヒロインの側にしばらく居る為、一緒に家に上がり、暴漢の記憶なんて吹き飛ぶくらい激しい情事に至る……
これじゃありきたりな展開だから、二人には実は以前にも接点があった、っていう描写も入れたい所……
実はカフェの店員と客だったとか。お互い存在は知ってるけど親しくはなくて、でも“いいな”と思ってた相手だったとか。
カタカタ、カタタタタタ……カタ、タン……
あっという間にプロットを作り終え、担当さんに送信。
ほんと、安室さんを見てると仕事が捗る。私が書く仕事を辞めずにいられるのも本当に彼様々だ。心の中でコッソリお礼をして。
ちょうどお昼時なので、パスタと紅茶を頼んで一旦休憩モードに入った。