Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第27章 一家勢揃!秘境の温泉宿【赤井秀一】
繋がった体勢はそのまま、秀一さんは片腕を伸ばしてスマホを取ったと思われる。
そしてつい先程までの甘い声とは全く違う、怒気と凄みを含んだ声色で電話に出た。一体誰からなんだろう……
だけどスマホから相手の声が漏れ聞こえてきたことで、すぐに分かった。秀吉さんだ。
「なんだ……」
「あっ、兄さん……?そろそろ僕達部屋戻ってもいい頃かなー、って?」
「……一生戻って来るな」
「じゃあ10分後に戻るからー」
「おい…」
上手く噛み合っていない短い会話の後、プツッと通話は途切れ、秀一さんが盛大な溜め息を吐く。
「秀吉さん達、戻ってくる、んですね……?早く…片付けないと……」
「全く……」
「あっ、わっ!」
身体が宙に浮き、秀一さんに抱えられたまま布団の敷かれた部屋へ入り、部屋の中の小さな浴室へ連れて行かれる。
床に下ろされて、繋がったままだった局部が離れれば、ドロリと垂れてくる白濁……無性に恥ずかしい……けど恥ずかしがってる暇はない。
先に秀一さんがさっとシャワーで身体を流し「心配するな、大丈夫だ」と言い残し、部屋へ戻る。
なんだか今までのことは無かったことになってしまいそうな気がして、ちょっと寂しく感じながらも、わたしも身体を流していく。
綺麗にして部屋に戻れば(浴衣が所々皺っぽいのが気になるけど)、ちょうど秀吉さんと真純ちゃんが戻ってきた所だった。秀一さんはちゃんと後始末を終えていたようで、広縁の椅子に脚を組んで座っている。
「兄さん達の布団にシワひとつ無いところを見ると……お楽しみはアッチだったのかな?」
怪し気な目付きで広縁を見やった後にわたしの方を笑顔で見てくる秀吉さん……先の電話の内容のことといい、おそらく彼にはバレてしまってるんだろう……顔に熱が集まる。
「へっ……?さあ……」
「ちゃんって本当に可愛い。って言っても、僕の彼女の次にだけどね」
「秀吉さん……もう…早くプロポーズして、その自慢の彼女さん、わたしにも紹介してくださいよ?」
「そうだね!今年こそはがんば…」
「おい、何してる、早く戻って来い」
「は!はーい!」
秀一さんに呼ばれ、助かった!とばかりに小走りで広縁に戻る。