Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第27章 一家勢揃!秘境の温泉宿【赤井秀一】
「わたしとなんて、いつでもゆっくりできるじゃないですか」
「俺は今とゆっくりしたいんだ」
「頑固……メアリーさんの言う通りですね」
「何とでも言え……」
秀一さんがクイッとお猪口の中身を飲み干したので、とりあえずお酌をして……腕を組んだ引き続き不貞腐れモードの彼を見つめる。
低いテーブルの両側に肘掛け椅子が2脚ずつある、6畳程の広さのこの広縁。向かい合って座っていたのだけど……ふと秀一さんと目が合った。彼の眉間のシワが緩み、口元が弧を描く。
「どうかしたか?」
「別に……?」
「……まあいい。来い」
秀一さんが隣の椅子を軽く引いた。拒否する理由もない。隣に移る。
だけど座るなり肩を抱き寄せられて、顎を掬われ口付けられた。日本酒独特の甘い香りを感じた時には、舌がこちらに入り込んできていた。
いつの間にか秀一さんの手は、浴衣の合わせから胸元に滑り込もうとしてる。
「っん!……だめ、です……」
「本当は…したいんじゃないのか?も……」
小声で抵抗するも受け入れられない。
わたしだって全くしたくない訳じゃない……けど、もしここで秀一さんが事を始めようとしてるんなら、非常にマズい、マズすぎる。すぐ向こうには、秀吉さん達がいる。
下着の上からゆっくりと乳房を揉まれて、その下へ入り込んできた指が先端を撫でてくる……
「ほん……っとに、だめっ!秀一さん!ここじゃ……ダメ!」
なんとか保っている理性を振り絞り、秀一さんから離れて乱れた襟元を直す。
「全く……もうアイツらは寝たんじゃないのか?先程から物音ひとつ聞こえんが……」
「っうそ?……た、しかに……」
そう言われてみれば、そうなのだ。
彼は立ち上がると襖を少しだけ開け、そして更に大きく開いた。
あれ……?
……なんと、音がしないどころか部屋には誰の姿もない。
もう一度襖を閉めてこっちを振り向いた秀一さんは……酷く愉しそうで……色気をたっぷり含んだ目と目が合ってしまえば、ドキドキして呼吸が浅くなってくる……