Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第27章 一家勢揃!秘境の温泉宿【赤井秀一】
わたしのお腹周りを強く抱えていたはずの秀一さんの腕は、いつの間にか緩んでいて、気付けば手が布の上から乳房に重ねられていて……
耳を甘く噛まれて、膨らんできた胸の先端を彼の指が掠める。
「っあ……」
と、そこに突然物音と、聞き覚えのある人の声が響いた。
「あ!兄さん!いたー!……ちゃんも一緒かな?」
心臓が止まるかと思った。
声の主は秀吉さんだと思われるけど、あまりに恥ずかしくて後ろを向けない。
秀一さんはわたしから手を離した。とりあえず一安心だ。でもその代わり、物凄く不機嫌そうな溜め息が後ろから聞こえた。
「……お前は来るなと言わなかったか」
「うわ……なんか殺されそうなオーラ出てる?」
「分かっているなら帰れ……」
「冗談キツいなぁ……」
ぺたぺたと濡れた足音が近付いてきて、おそるおそる顔を斜め後ろへ向ければやっぱり秀吉さんで。
彼の腰にタオルは巻かれているものの、見てはいけないものを見てしまった気がして直ぐに顔を前に戻した。
「いいじゃん。兄さんと温泉なんて10年ぶりだろ?たまには兄弟水入らずでさ」
「がいる」
「そりゃあココは混浴だし。異性が居るのが嫌ならそもそも来ちゃダメじゃん。ね?ちゃん」
「は、はい……大丈夫です!でもわたし、そろそろ出ますから……ごゆっくり……」
「が出て行く必要はない」
「僕は居てもらって構わないよ?そのうち真純も来ると思うし」
「……本当にお前らは……」
眉間にシワの寄りまくってる秀一さんとは対象的な、ニコニコ穏やかな顔付きの秀吉さんと入れ替わるように、わたしはお湯から出た。
……危なく流される所だった。あと少しタイミングが悪い方にズレてたら、とんでもない所を見られてしまう所だった。
ふぅ、と息を吐いて、女湯の方へ戻る。
露天用のワンピースを脱いでいる所で、素っ裸の真純ちゃんと鉢合わせた。
「さんじゃないか!もう上がっちゃうのかー?」
「う、うん。秀一さん達はまだいると思うけど」
「そっか!じゃ、また部屋でなー!」
「うん!」
内湯にたっぷり浸かって、上がったらいつもより丁寧にスキンケアをして。宿の浴衣を着て、髪を乾かして浴場を出た。