Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第26章 夏の誘惑*後編【降谷零】
バーベキューの準備ができたら、5人で焼き台を囲んでそれぞれに楽しみ。
いち早く食事を終えた(と言い張る)息子ちゃんは、零を海に誘っている。
「あと少し食べて、着替えたらな。も入るだろ?」
「はいっ!」
水着は持ってきてはいる。だって“水着持参”って言われてたから。
自分が着てるのを見られるのは少し気が引けるけど、零の水着姿はすごく見てみたいんだし……ギブアンドテイクだ。
お肉をあらかた食べ終えて、私と零に用意してもらった部屋へ一度入る。
ベッドが2つにテレビにエアコンは勿論シャワー室まであって、改めてこの別荘ってすごい、と思わざるを得ない。
「まるでホテルだな……」
「ほんと……いくらするんだろ」
「土地込みなら億超えかもな」
「ですかね……っ、ぇ!」
そんな会話をしつつ、零が急にTシャツを脱ぎ出したから変な声が出てしまった。その下は当然素肌だ。割れた腹筋が見えて、思わず後ろを向いた。
「早くも着替えろよ……あ、僕が見てると恥ずかしいか」
「そ!そうだよ……私あっち行ってくる!」
水着を引っ掴んでシャワー室に逃げ込んだ。
そして水着を着てそろりと部屋へ戻れば……既に零も水着姿だった。
「可愛い……可愛すぎる……」
「あんまり見ないでよ……」
「もっとよく見せて……でも……誰にも見せたくなくなってきた……目暮部長にも、あのチビにも……」
近寄ってきた零にただならぬオーラを感じて後退る……けどどんどん彼は距離を詰めてきて、気付けば自分の背後は壁。
頭の横に片腕を突かれて、首すじと鎖骨を零の手が撫でて……胸の膨らみを通って、谷間に指先が入り込む。
私の目の前には鍛えられた厚い胸板。
まずい……
「やっぱり海じゃなくてベッドで遊ぼうか……」
「……っ!降谷さん!ダメです!あの子も、待ってますから……!」
無理矢理仕事口調で零の胸を押し返した。正気を取り戻してほしくて。
無言が数秒間続き……
「……そうだな、すまない……」
「いえ……」
普段の雰囲気に戻った。よかった……
「じゃあせめて……何か上に着てくれないか」
「あ、はい……」
「僕のTシャツでもいいぞ?」
零のさっきまで着てたTシャツを頭から被せられ、外に出ることになる。