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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第26章 夏の誘惑*後編【降谷零】


零はカッコイイ、カッコイイ所しかないとばかり思ってたけど……今日の彼はずっとニコニコしてて……少し幼いと言うか……なんとも可愛いく見える。

だけどスッと伸びた腕は太くて男らしい。でもハンドルに掛かる指先は綺麗で……

それに彼の小麦色の肌が、白いTシャツの爽やかさをより引き立ててる気がする。


目的地までの道中、助手席から向こう側の景色を眺めるフリをしつつ、じっくり彼を観察してしまった。




数時間後。ナビから「目的地周辺です。案内を終了します」と告げられ、私達は目暮さんの別荘に着いたと思われる。


「ココ……?めっちゃくちゃ立派じゃないですか……さすが□□社役員……」

「想像以上だな……」


どうも海沿いの開けた広々とした土地一面が“私有地”となっているようだった。庶民の住宅おおよそ2件分はあるかっていう大きさの別荘、その奥に砂浜、そして海。


先に停まっていた、ひと目でわかる高級車の横に並べて車を停めて降りれば、建物の中から海パン姿の可愛らしい男の子(推定5、6歳)が飛び出してきた。


「こんにちはー!ふるやのにーちゃん!」

「久しぶり。また大きくなったな」


目暮さんのお子さんと思われる。男の子は零に駆け寄って頭を撫でてもらって喜んでる。
そして、男の子の視線は私の方へ移る……


「このひとが、にーちゃんのだいじなひと?」

「そうだ。おねーちゃんっていうんだ。仲良くしてあげてな」

「へえー……びじんだな!」

「あ、ありがとう……よろしくね!」


別荘の中に招き入れられ、目暮夫妻にもきちんと挨拶をした。

目暮部長は想像通りの朗らかな感じの割腹の良いおじさま。奥様は部長よりもひと回り以上年下の若くて綺麗な方、こちらも優しそうな人で安心した。


「早く早く!」と息子さんに急かされ、浜辺でバーベキューをする運びとなる。

火起こしは男性陣、私は、食材を準備する奥様のお手伝い。息子ちゃんは砂浜を駆け回ったり海に入ったり炭の様子を覗いたりお肉を見に来たりと、一人せわしない。

こういう温かいアットホームな雰囲気って久しぶりで、さっきから私は表情筋が緩みっぱなしだ。しかも息子ちゃんと喋る零を見てると、兄弟のようにも父子のようにも思えて……色んな想像で余計にニヤニヤしてしまいそうだった。
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