Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第26章 夏の誘惑*後編【降谷零】
暗くはなったけど、まだ纏わり付くような暑さは残っている外。こっちは早く家に連れ帰りたい気持ちでいっぱいなのに、は僕の後ろで何やらモジモジしている。
「あの……少しくらい」
「ああ、いいって。に払わせる気はないから」
「でも……」
僕達は付き合ってて、僕の方が明らかに収入は多い。こっちが払わない方がおかしいのに、彼女はまだ財布をバッグから出したままだ。
財布を掴んでバッグにしまわせて、そのままの手を取り、しっかりと握る。
「早くしまってくれないと手も繋げないだろ?」
「は、はい……じゃあ……ごちそうさまでした」
少し恥ずかしそうにしてるが可愛くて……その場で抱き締めたい衝動に駆られる……けどそれは、抑える。
「それでいい。じゃあ行こうか。僕の家でいい?」
「……はい」
今日は予め、食事の後は家においで、とは言ってあった。今の今誘った訳でもないのに、緊張の色を滲ませる彼女は……やっぱり可愛い。
ゆっくり歩きながら、自宅を目指した。
家に女性を招いたのなんて学生時代以来だ。いつも自分一人の空間に、別の人間がいる。でも不思議と違和感は無くて……まるで足りなかった何かが満たされたようなしっくりくる感覚。
もしかすると……僕とは、一緒になるべくしてなったのかもしれない。
そんな事を考えながら冷たいお茶を用意してると、顔がニヤついてたのか、彼女に「なんか楽しそうだね」と言われた。そりゃそうだ、すごく楽しいんだから。
その晩も、を抱いた。
初めての時よりももっと丁寧に、たっぷり焦らして、強請らせて……とろとろに蕩けた涙目の彼女は、最高に可愛かった。
僕しか知らない、彼女のあんなに乱れた姿は……本当に働いてる時とは別人のよう。
がパートナーだと仕事も捗るけど、僕達は身体の相性も良好と言える。