Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第26章 夏の誘惑*後編【降谷零】
17時半過ぎに会社に戻り、異常なくらい涼しい第一営業部に入れば、いつも通りPCに向かっているの姿を確認。
近くの人間と「お疲れ様」と挨拶を交わせば、は手を止めて、椅子から立ち上がる。
「お疲れ様です!降谷さん!」
「お疲れ、さん。今日はもう大丈夫だから帰る準備してもらっていいよ」
「はい!」
にっこり微笑むがいつもより若干楽しそうに見えるのは僕の思い上がりだろうか。
それに彼女、今日は今までに見たことのない服を着てる。デートの為に用意してくれたんだろうか。
荷物を片付け、18時に二人揃って部署を出る。僕達の関係はまだ社内の誰にも話してないけど、きっとそのうちバレるだろう。別に社内恋愛NGの会社でもないし、構わない。
それにのことを“可愛い”と言う同僚は多い……だから本当は、さっさとバレてくれた方がいいくらいだ。
(だけど自分達からわざわざ公表するつもりもない)
今夜は気楽な感じのレストランを予約した。ちゃっかりその後の事も考えて、自宅まですぐに帰れる距離の店。
店に着き、テーブルにと向かい合って座り、食事を始める。
「会社の奴らに僕との事、聞かれたりしてないか?」
「……なーんにも。まあ、仕事とは関係ありませんから。業務中にする話でもないですよね」
「だな……でもあれだ、□□社の目暮部長なんだけどさ……」
「何かあったんですか?」
「何かって言うか……毎年盆休みに誘われては断ってたことがあって」
に、連休中のどこかで目暮家の別荘に一緒に泊まりに行かないかと打診した。そしてを自分の恋人として紹介したい、とも。
「私なんかが行っていいんですか……?」
「来てくれた方が断然いい」
「それなら……お付き合いします」
「そんなに固くならなくていいから。殆ど仕事じゃないし」
「でも大事な取引先ですよ……失礼のないように頑張らないと!」
彼女の期待通りの反応に安心して。日程を決め、目暮部長にメッセージを送る。
頼んだ料理も全て出てきて食べ終わり、店を出る。