Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第25章 夏の誘惑*前編【降谷零】
「あ……待って……はずかし……っ」
「何がだよ、こんなに綺麗なのに……」
「降谷さんに見られるのが……恥ずかしいの……」
「降谷さん、じゃなくて」
「れい……」
バーを出るなり手を繋がれ、手を引かれるまま近くのホテルに入った。
部屋に入った途端彼の腕の中に閉じ込められて、頭のてっぺんから耳にも、頬にも、もちろん唇にも……いっぱいキスされて……
フワーッと身体から力が抜けて、膝から崩れそうになった所を抱えられベッドに寝かされて、服を次々に脱がされていく。
部屋の中はそんなに明るくはないとは言え……裸を晒すには十分恥ずかしい明るさだ。
ついに下着だけになってしまい。胸の前を腕で隠すも、腕は取られて頭の横に押さえつけられて……結果ジーッと視線を浴びせられることになる。
「こっち向いて、……」
「う、ん……」
「……ほんと、可愛いよ……」
優しくも妖しくも見える彼の笑顔。仕事中には絶対見ることのなかった、知らなかった表情……すっごく男っぽくって、カッコイイ。胸が苦しいくらい高鳴ってる。
そりゃあ、好きな男性に組み敷かれてるのだ、ドキドキしない訳がないんだけど……
どうしたら、彼は一番喜んでくれるだろうか。
一度大きく深呼吸して……自分の中で覚悟を決めた。
彼の首の後ろに手を回して、出来る限り甘く、目を逸らさず、言葉を発する。
「全部……今日は、零の好きにして、ください……」
「……こんなに嬉しいプレゼントは初めてかもな……有難く頂くよ。大事にする……」
「っん……ふ、ぁ……」
一瞬そっと唇が触れたと思えば、すぐにまた重なった時には舌が口内に差し込まれて、舌が捉えられる。まるで性感帯を愛撫するように優しく吸われて、裏側に、付け根に、熱い舌が這わされる。
ゾクゾクして……キスしてるだけなのに全身が蕩けそう……
全く知らない煌びやかな部屋に、チュプチュプと立つ水音と、時たま漏れる甘くて切ない吐息の音……
身体を擦り寄せ合いながら、夢中で舌を絡めて、キスに没頭する……