Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第25章 夏の誘惑*前編【降谷零】
なんと言えばいいやら、モゴモゴしていると彼が更に捲し立ててくる。
「いつも思ってたけどな。口には出さないけど。は可愛いし、よく働くし、髪も綺麗で……いつも長袖だから分からなかったけど……こんな白くて柔らかそうな腕だったんだな、とか」
「え、っ……」
「近くにあると、つい、触りたくなるよな……」
「う、そ……」
彼の手がこちらに伸びてくる。触られるのは多分嫌じゃないけど周りには人だっている……!
パニックになりかけていると……人差し指の先で、二の腕の内側をスッと撫で上げられた。
「んっ……」
「スベスベ……しかも可愛い声……」
耳元で小声で囁かれて……たったそれだけなのに酷くゾクゾクしてしまう。
降谷さんどうかしちゃったのか……っていうか私がどうかしてしまいそうだ……
「なあ、ココはやっぱり僕が出すから。プレゼントは別にくれよ」
「……はい?」
しっかりと視線が合わさり、見つめ合ってしまい。
これが私の自惚れでなければ、キスする直前、みたいな空気が漂っていて……その空気に耐えきれず、正面に向き直った。
だけど彼は隣から距離を詰めてきて、肩の辺りが彼の腕に触れる。
ふわっといい匂いがしたと思ったら、再び耳元に口元が寄せられた。
「プレゼントは、がいいな」
「わ、わたし……!?」
「今日は僕のしたい事をしていいんだろ?だったら僕は、が欲しいな……」
……私としては願ってもないお話ですが。いいんでしょうか、そんな事しちゃっても。いくら今夜限りだとしても、月曜日からまた普通でいられる自信がないです。
体温がいっぺんに上がったみたい、急に熱くなってきた。熱を持つ頬に手をあてて、俯く。
「?……いい?」
頭を、ゆっくり縦に振る。でも、もう顔を上げられない。
「じゃ、出ようか……会計してくるから待ってて」
肩をポンと叩かれ、彼が席を立つ。
顔を上げて、残っていたお酒を飲み干した。
若干酔いが回ってる気がするのは、お酒のせいなのか、彼のせいなのか……全く分からなかった。