Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第24章 It's SHOW TIME!【真田一三ルート】
初めての客前ステージが始まり……
序盤は真田さん一人で簡単な演目、お客さんの関心を完全に引き付けた中盤からは、私もステージに上がって、宙に浮かされたり、消されたり、現われたり……そして最後は定番だけど盛り上がる脱出マジックっていう流れ。
背中にすごい汗をかきながらも、拍手喝采の中終了して……
控え室に戻ってきた。
お水をゴクゴク飲んで、ソファに座り手足を投げ出して体中の力を抜く。
ネクタイを外した真田さんも隣に座ってきて、頭を撫でてくれる。
「めっちゃくちゃ緊張しました……」
「ちゃんと出来てたよ、上出来だ」
「そうだといいんですけど……」
失敗っていう失敗はしなかったけど、まだまだもっと上手くできる所はあったと思う……また明日から練習だ。
「さて、着替えて荷物積んで帰ろうか」
「またアレ運ぶんですか……」
「“家に帰るまでが遠足”って学校で習わなかったか?片付けまでして、やっと終わりだ」
「たしかに……そういうことですよね……」
「でも今日は車に積み込むまででいいよ。もう遅いし、ホテル出たら直接家に送る」
「えー!ダメです!ちゃんと片付けまでやります!」
……本当は、最後まできちんと片付けをしたいっていうよりも、少しでも長く真田さんといたいだけなんだけど。だって今日は……
そんなこんなで再びスタジオまで帰ってきて。全ての片付けを終えた。明日は筋肉痛かもしれない。
「ほんと、ちゃんはエラいよ……姉さんもココまではしないぞ」
「えっ!そうなんですか!?……あ、でも私は動機が不純ですから……」
「不純?ああ……もしかして僕と離れたくなかったとか?」
「そうです……」
「……なんでそんな可愛いこと言うかな……帰したくなくなるだろ……けどそろそろ帰さないとほんとにマズい時間だよな……」
「あの、今日私遅くなっても全然大丈夫なんです……家には誰もいないので……だから……」
家族は今朝から旅行に行ってるのだ。だから何時に帰ろうが、知られようがない。
「それって今夜は一緒に居ようってこと?」
「真田さんがいいんなら……まだ帰りたくないなぁ、なんて……」
「分かってる?自分が何を言ってるのか」
「子供じゃないもん……分かってます……」
「そう……じゃあ、ウチに来るか?」
小さく頷いた。